2012.09.30

ヒガンバナがようやく咲き始めました

今年は、9月中旬まで酷暑が続くとともに雨がほとんど降らなかったからだと思いますが、秋の花の開くのがかなり遅れているようです。

写真は9月25日に撮影した、咲き始めのヒガンバナです。花を丁寧に観察するには、満開の時よりもこの方がよいかも知れません。花茎の上に610個の花が放射状に展開し、真っ赤な6枚の花弁が反り返ってつきます。これも真っ赤な6本のおしべと1本のめしべが、花弁よりもずっと長く突き出していて、独特な花の形を作っています。南池のそばの三貫清水の碑のまわりのヒガンバナは毎年早く咲きますが今年ももう終わって黒い種子ができています。日本のヒガンバナは3倍体で、種子が出来ないとされますが、この種子は播いても発芽しないでしょう。原産国中国には2倍体があって、種子繁殖するそうです。

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次はカヤツリグサ科の多年草、ヒメクグです。カヤツリグサ科にはめずらしい、小型の草ですが、短くて細くても、ちゃんと3角形の断面の茎を持っています。

ヒメクグ縮小.jpg

 

写真左はイネ科の1年草キンエノコロです。エノコログサ、アキノエノココログサなどこの仲間は、たくさんの小穂(これも花の集合ですが)からなる花穂を形成し、小穂に長いノギ(芒)があるように見えますが、本当はノギではなく、小穂の根元に多くの長い剛毛が生えているのだそうです。この剛毛がキンエノコロでは黄金色をしていて大変きれいに見えます。

写真右は北アメリカ原産のイネ科の多年草シマスズメノヒエの花穂です。花穂の枝には、小穂が35列並びます。

キン縮小.jpg

 

次の写真はイネ科の1年草で、左がオヒシバ(雄日芝)、右がメヒシバ(雌日芝)です。花穂の太さが違うので“オ”と“メ”ですが本来違う属の草です。どこにでもごく普通に生える雑草です。

ヒシバ縮小.jpg

 

 次はキク科のセンダングサの仲間です。葉の形が樹木のセンダンに似ているとしてこの名があります。左はアメリカセンダングサです。アメリカ原産で、舌状花があるそうですが、ほとんど見えません。頭花の下に葉状の大きな総包片が目立ちます。中はコセンダングサです。通常舌状花はありません。右はコシロノセンダングサと呼ばれ、白い弁を持つ舌状花を数個つけます。これは08年に南池のそばで撮ったものですが、近頃見かけないように思います。

センダングサ縮小.jpg

 

  何気なく暦を見ていたら、930日は旧暦で815日とありました。そう、中秋の名月です。あいにくの台風の接近で月は見られそうにありませんが、真ん丸なお月さまと、お供えの「きぬかつぎ」(衣被、さといも)と、風にそよぐススキを思い出しました。ススキは、例年よりも少し遅れているようでしたが、ちゃんとたくさん穂を出して涼しくなった風に揺れていました。

ススキ縮小.jpg

 

9月下旬にはすっかり涼しくなって夜などときに肌寒さを感じるようになりました。早く元気になりたいですが、夏バテはなかなか回復しそうにありません。

 

若本孝雄