イネ科とカヤツリグサ科を少し勉強しました

2012.06.10

最近次の写真上の草が、近くの公園脇にたくさん増えた気がします。いままで気にも留めなかっただけなのかもしれませんが。何気なくカラスムギかなと思っていましたが調べると違っていました。イヌムギでした。また、イネ科とカヤツリグサ科の草は種類が多いのに花が小さくて目立たないし、種類を決めるのも自信がなかったので、今まで紹介しなかったものが多く、気になっていました。今回多少勉強したので臨時版として取り上げました。

 

しょうすい.JPG

かやつり.JPG

まずイネ科です。

次の写真上は、南アメリカ原産のイネ科の多年草イヌムギです。垂れ下がる大きくて扁平な小穂は610個の小花からなり、のぎはほとんどありません。

写真中は、昔からありますがヨーロッパ原産といわれる2年草カラスムギです。垂れ下がる大きな小穂ですが3個の小花からなり、うち2小花は固くて長いのぎがでます。のぎは途中でよじれて曲るのが特徴です。

写真下は、1年草のスズメノチャヒキです。カラスムギの別称チャヒキグサを小型にしたものという意味でスズメの名がつきました。小穂はやや扁平で10個内外の小花からなり、直立するのぎを出します。

 

チャヒキ縮小.jpg

 

次の写真左はイネ科でどこにでも生えているやわらかい小型の12年草スズメノカタビラです。2月ごろから11月ごろまで花を咲かせています。小穂は46小花からなり、のぎはありません。

写真右は多年草イチゴツナギです。小穂は36個ほどの小花からなり、のぎはありません。子供が取ったキイチゴの実を刺して持ち帰ったことから名がついたと言いますが本当かしら。

スズメノカタビラとイチゴツナギ、よく似ていますが、前者は草丈20センチほど、後者は草丈70センチほどあります。

スズメ縮小.jpg

 

次はアシ(ヨシ)に似ていて柔らかいからとクサという名がついたという、イネ科で多年草のクサヨシです。私にはアシに似ているとは見えなかったので、長く名前が分かりませんでした。今は花穂が白っぽく、おしべで花粉を作る器官であるやく(葯)が、黄色がかって小穂の外に飛び出してたくさん見えています。

クサヨシ合成2縮小.jpg

 

次は多年草チガヤです。写真はまだ若い花穂ですが花が開くと長い毛が多くて銀白色に光ります。もっと若くてまだ外に出ないうちの穂は、子供の頃ツバナと呼んでいましたが、噛むと、かすかに甘みがあります。

チガヤ縮小.jpg

 

次は2年草カズノコグサです。小穂は花穂の枝に一方に偏って2列に並びます。1小穂1小花で頴はふくれて袋のようになります。のぎはほとんどありません。花穂の形からカズノコの名前がつきました。

カズノコグサ1縮小.jpg

 

次からカヤツリグサ科に移ります。次の写真はスゲ属の多年草3種です。

左はアゼナルコ、花穂は46個の小穂からなり頂小穂の元半分が雄性、先半分が雌性の花、他小穂は雌性という特異な形です。

中はゴウソ、34個の小穂からなり頂小穂が雄性で他は雌性です。

右はカワラスゲ、46個の細い小穂からなり、これも頂小穂が雄性、他が雌性です。

スゲ縮小.jpg

 

次もカヤツリグサ科スゲ属の多年草3種です。

左はマスクサ、茎の上方の包葉のもとに雌雄混ざった楕円形の小穂が1個ずつつきます。

中はエナシヒゴクサ、茎の上方の包葉のもとの頂小葉が雄性で直立し、他の23個の小穂は雌性で柄がなくてこれも直立します。

右はミコシガヤです。上部に少数の雄花下部に雌花のついた球型の小穂がたくさん楕円形に密集した花穂を形成します。花穂の基には長い葉状の包葉があります。

マスクサ 縮小.jpg

 

次はカヤツリグサ科の多年草ウキヤガラです。茎は太い3稜形。茎の先に花穂よりはるかに長い葉状の包葉が24個ありその間から38個の枝をだし、枝先に14個の小穂をつけます。湿地に大群落を形成します。

ウキヤガラ1縮小.jpg

若本孝雄