フトイの緑が鮮やかです

2011.04.30

写真はフトイ(太藺)です。畳表の材料のいぐさ科のイ(藺)を大型にしたような形をしていることから名づけられましたが、いぐさ科ではなくかやつりぐさ科の多年草です。茎をとりまく葉鞘だけに退化している葉はほとんど見られません。この時期はアシがまだ茂っていないので、フトイの鮮やかな濃い緑の茎が群生していてたいへん目立ちます。右の写真は去年6月に撮った花穂です。

フトイ100無題-縮小.jpg

 

次はやはり春にはなくてはならないカントウタンポポです。一時「タンポポ戦争」などといわれたこともあるほど、外来種のセイヨウタンポポに駆逐されて、カントウタンポポなどのニホンタンポポが絶滅してしまうなどといわれましたが、この時期に三貫清水緑地に見られるのはほとんどカントウタンポポであることを確認しています。絶滅などあり得ないと私は確信しています。

ところで一輪のように見えるタンポポの花は数十個の花の集合です。朝開き夕方には閉じるという動作を3日間繰り返すと4日目には花が終わって、花茎は横に寝てしまい後続の花に場所を譲ります。そして2週間ほど、痩果と呼ばれる果実を充実させると同時に花茎を長く伸ばします。果実が熟すと花茎は再び直立し、その時には冠毛と呼ばれるたくさんの毛からなるパラシュートをつけた果実(右が拡大写真)が花の時期よりは一段と高い所に位置していて、風に乗って遠くに飛ばされるのを待つのです。自然とはなんという素晴らしい知恵を持っているのかと感心させられます。

無題タンポポ.jpg

 

次はシラユキゲシです。けし科の多年草で中国東部の原産の園芸種、野草図鑑には載っていません。これはもともと植えられたものかも知れませんが、野に逸出しているように見えます。写真ではよく分かりませんが4弁花です。茎を切るとオレンジ色の液汁を出します。けし科の草には多いのですがこの汁も多分有毒だと思います。

シラユキゲシ-縮小.jpg

 

次はなでしこ科の1年草オランダミミナグサです。今は三貫清水緑地のミミナグサはほとんどヨーロッパ原産の外来種のオランダミミナグサになってしまったようです。ミミナグサ(耳菜草)の名前は対生する葉をネズミの耳に見立てたものです。

オランダミミナグサー-縮小.jpg

 

次は今鴨川の土手にたくさん見られるセイヨウカラシナの群生です。これも広い意味では「ナノハナ」の仲間に入るのでしょうが、アブラナの仲間よりやや時期が遅れて咲きます。ヨーロッパ原産とされる帰化植物です。すこし辛味を持った葉菜としておいしく食べられるので、少し前には採取していく人がたくさんいました。

セイヨウカラシナ-縮小.jpg

                                                                                                  若本 孝雄