スミレとニワトコ

2010.03.31

タチツボスミレ(写真左)やヒゴスミレが咲き始めました。ニワトコのつぼみ(写真右)が膨らんで今小型のブロッコリーのように見え、もうすぐ白い花が開きます。この2つ、まるで縁がないようですが……?  「すみれの花咲く頃」という歌は宝塚歌劇団を象徴するものになっています。そしてその歌の原曲は、オーストリア・ウィーンで流行したフランツ・デーレ作曲の「にわとこの花がふたたび咲く頃」だったのです。ドイツ語でホルンデルと呼ばれるセイヨウニワトコは、花が黄色で香りも強く人気のある花木だそうです。それがフランス・パリでは「白いリラの花の咲く頃」というシャンソンに編曲され流行したといいます。日本ではパリ留学を終えた白井鐵造が「すみれの花咲く頃」と装いをあらため、宝塚歌劇団のレビュ―「パリゼット」の主題歌として上演したのが1930年のことです。……というわけでこんなとんでもない取り合わせになりました。


 

ノゲシ(下の写真左)やオニノゲシ(右)は、タンポポと違ってひとつの花茎が枝分かれして多くの花が付きます。オニノゲシの葉はノゲシに比べて照りがあり棘は触ると痛いほど尖っています。どちらも葉は茎をまたぐように付きますが(付き方はすこし違います)、このような付き方を「葉が茎を抱く」といいます。ノゲシは別名をハルノノゲシと呼びますが、秋に咲くアキノノゲシに対する名前で実際には真冬を除いてほぼ通年咲いています。ノゲシ(野罌粟)の名は葉姿がケシに似るところから付きましたがもちろんケシの仲間ではなく、きく科ノゲシ属です。アキノノゲシは別属です。


 

コブシの花が今年もたくさん咲きました。もくれん科モクレン属の仲間で、ハクモクレンよりコブシの方が早く咲くとする解説が多いのですが、私の見たところでは近所のお庭のハクモクレンのほうがだいぶ早いようです。花弁9枚からなりコブシではうち3枚がごく小さくて6枚に見えるという説と、花弁6枚と萼片3枚からなりハクモクレンでは萼片3枚が花弁と同じ大きさなので花弁9枚に見えるという説の2説があります。花弁と萼片には本質的な差異は無いようなのでどちらも正しいということでしょう。


 

 

若本 孝雄