イソギクとハナイソギクです

2009.11.30

下の写真(左)はきく科の多年草イソギクです。太平洋側の海岸の岩の上などに生えるから磯菊だそうですが、海から遠くても畑のそばで咲いていました。植えられたものかそれが野生化したものかも知れません。葉の裏側に白い毛が縁までびっしり生えているので、葉の表側が白く縁取られているように見えるのが特徴です。舌状花はありませんがかわいい花なので園芸種としてもよく植えられています。

写真(右)はハナイソギクです。イソギクと栽培ギクとの間に自然交配でできた雑種とされています。白い花びらのように見える舌状花が10個ほどあるのが特徴で、葉はイソギクの特徴をそのまま残しています。この仲間には黄色の舌状花を持つものもあってサトイソギクと呼ばれているそうです。


 

次はノボロギクです。ほぼ通年咲いているヨーロッパ原産のきく科の1年草ですが花の少なくなったこの時期には貴重です。「野襤褸菊」とは少々かわいそうな名前だと思います。舌状花がないのでいつでもつぼみのように見えます。


 

次はベニバナボロギクです。アフリカ原産のきく科の1年草でシュンギクに似た香りがあります。花房は先が垂れて下向きに赤レンガ色の花が咲きます。これも舌状花はありません。同じ仲間で上向きに黄色の花をつけるダンドボロギクが、去年は道路の植え込みにたくさん咲きましたが今年は除草されたのか見かけません。


 

今日はきく科の特集みたいになってしまいました。11月にはあちこちで菊花展が催され、日本の花の代表みたいな顔をしていますが、観賞用の栽培ギクは、そもそも中国でチョウセンノギクとシマカンギクの交配種を改良して作られたといわれ、日本には奈良時代に渡来し江戸時代に改良されて非常に多くの品種が作られたのだそうです。きく科、中でもキク属はもともと種間の雑種が非常にでき易いといいます。その性質を利用しての品種改良が盛んに行われているわけです。でも今日紹介したハナイソギクのような雑種がはびこって、将来野生種の絶滅が危惧されるようになってしまうのではないかという話を聞きました。気になることです。

若本 孝雄