マコモの花です

2009.10.15

写真はマコモです。いね科の大形多年草で、鴨川の中で咲いている花穂を、フェンス越しに望遠でなんとか撮ることができました。上部に淡緑色の細長い雌花、下部に紫色を帯びた雄花をつけています。大昔は種子が食用にされたといいますし、大宮氷川神社などでは茎葉を乾燥して作った菰(こも)を神前に捧げる神事があるそうです。ある種のマコモでは、黒穂菌が寄生してタケノコのように肥大した茎をマコモタケと呼んで健康食品として注目されています。繁殖した黒穂菌自体はマコモズミと呼んで、お歯黒の材料にしましたし、鎌倉彫などの漆器では黒い顔料として今でも使われています。伊豆沼などではマコモを使って水質浄化が試みられているそうです。このように有用な植物だったのですが、河川改修などで最近身近に見かける機会がすっかり減ってしまっています。


 

 

くまつづら科の落葉低木コムラサキの白実のものがありましたから紹介します。シロシキブという別名もありますが、コムラサキの1変種とされているようです。花も実も白く、これはこれで結構きれいです。


 

 

次はチヂミザサです。いね科の小さい1年草です。葉はいね科としては短くササの葉に似ていて波打っているので「縮み笹」です。花穂には針状のノギ(芒)があり、果実が熟してくるとこのノギが臭気のある粘液を出して、衣服などにつきます。粘液という変わった方法でヒッツキムシの仲間に入って種子を遠くへ運ばせているわけです。


 

若本 孝雄