ヒメコウゾの花です

2009.04.30

写真はくわ科の落葉低木、ヒメコウゾの花です。新枝の下部に雄花が咲き黄白色の葯が目立ちます。上部には雌花が咲き赤紫色の花柱が放射状に広がります。花後に橙赤色のモミジイチゴに似た果実が熟し、甘くて食べられますが口当たりはよくありません。昔樹皮が和紙の原料として用いられましたが今用いられるのはカジノキとの雑種といわれるコウゾです。


 

次はしそ科の多年草のカキドオシです。鴨川の向こうの原っぱの民家近くにたくさん生えているのを最近見つけました。別名をカントリソウといい、子どもの疳を取るのに効くほかいろいろの薬効があるといいます。今咲いているキランソウがジゴクノカマノフタといって万病に薬効が高いとされるように、しそ科の草には薬草として効用の高いものがたくさんあります。


 

次はヤマブキ(写真左)とヤエヤマブキ(写真右)です。どちらもばら科の落葉低木で山吹色といわれる黄金色の花をたくさんつけます。太田道潅の故事で名高い後拾遺集の中務卿兼明親王の和歌にいう「実のひとつだになきぞかなしき」山吹とはヤエヤマブキのことで、一重咲きのヤマブキには写真左下のような果実がたくさんつきます。なお果実の写真は間に合わなかったので小学館の「日本の樹木(中川重年著)」上巻130ページから引用しました。


 

4月後半に花の咲き始めた樹はヒメコウゾ、サルトリイバラ、エノキ、イヌザクラ、ニシキギ、オニグルミ、フジ、ムクノキ、ミズキ、ナナカマド、エノキです。今年イロハカエデやカツラは、花に気づかないうちに花期が終わってしまいました。3月末ごろ寒い日が続いたので、4月に急に暖かくなってパッと咲いてすぐ散ってしまったのだと思います。サクラの花の見頃が場所によって長かったり短かったりバラツキが多かったのもこの気候と関係があるのでしょう。

 

草ではヤエムグラ、オランダガラシ、セキショウ、ホウチャクソウ、シラー・ヒスパニカ、ヘラオオバコ、タツナミソウ、アマドコロ、カズノコグサ、ミヤコワスレ、スズメノチャヒキ、スズラン、チガヤ、スイバ、ノニガナ、カキネガラシ、オオジシバリ、オニタビラコ、ヤブタビラコ、ウシハコベ、カワヂシャ、ホソバノアマナ、ムラサキツユクサ、ナガミヒナゲシ、シロツメクサ、ホソバノアマナ、アメリカフウロ、コメツブウマゴヤシ、ウラシマソウ、オヘビイチゴ、キツネアザミ、ニガナ、チチコグサ、ショウブ、カキツバタ、ウマノアシガタ、アカバナユウゲショウが咲き始めました。

若本 孝雄