タラヨウの実がきれいです

2008.12.15

12月に入りましたが、今日は晩秋の樹木の実りを紹介します。

写真はもちのき科の常緑高木タラヨウです。インドで葉に経文を書く多羅樹(やし科)からタラヨウ(多羅葉)の名になりました。葉が厚く大きくて、裏に尖ったもので黒く残る字が書けます。これに80円切手を貼ると郵便で届けてくれるそうで、葉書の元祖として、東京中央郵便局には「郵便局の木」と称して植えてあります。いま赤い実が熟してとてもきれいです。


 

次は鴨川の土手に実生で生えて3m位に育った、もちのき科の常緑小高木のトウネズミモチです。果実がネズミの糞のようだとして名前がつけられたネズミモチに似ていて中国原産です。ネズミモチよりたわわで球に近い果実がなります。


 

次も鴨川土手に実生した、くすのき科常緑高木クスノキです。葉をちぎるとくすのき科特有の樟脳の香りがします。昔は材を家具に用い、枝葉や樹皮から樟脳を取り、医薬品(カンフル)や防臭剤にするなどして利用しました。街路樹によく植えられていますが、天然記念物に指定されるような大木や老木も多いのです。写真の木は成長が早く、実生から数年で樹高4m近くに育ちました。春の花は小さくてまばらで目立ちませんが、熟した黒紫色のつややかな果実がきれいです。


 

先月アメリカイヌホオズキを見つけました。在来種のイヌホオズキとは葉の形と花(果実)のつき方が違うのですが、どちらかよく分からないのもあって、雑種ができているのではないかと思います。

きく科では、野生のイソギクと栽培のイエギク(園芸ギク)との雑種で、ハナイソギクとかサトイソギクとか呼ばれるものが知られているそうです。こうした雑種ができることは野生種の遺伝的多様性の保護上問題で、人間の生活空間の拡大で野生ギクが遺伝的に汚染され続けると、「種」として滅んでしまう可能性があるとされています。少しは園芸に首を突っ込んでいる私には、少々気になる話です。

 

樹でビワの花が咲き始めました。

 

若本 孝雄