ノミと名のつく草2種

2008.04.30

今回はノミと名のつく草を紹介します。ノミといっても今の若い人にはなじみがないでしょうが、体長2mmほどのごく小さい昆虫で、血を吸われると、かゆくて昔は悩まされました。もともと体が小さいうえに雄が雌より小さくて、「蚤の夫婦」という言葉が生まれました。この言葉、今も生きているでしょうか。

写真の上段はノミノフスマ、下段はノミノツヅリで、いずれもなでしこ科の1〜2年草です。ごく小形なのでノミの名がつきました。フスマとはふとんのこと、ツヅリとは粗末な衣服のことです。ノミノフスマはハコベにそっくりで5枚の花弁が基近くまで2裂しているので10弁に見えます。小形ですが花だけ見るとハコベよりむしろ大きいかも知れません。ノミノツヅリは5枚の花弁が裂けませんし、やや長い萼(ガク)が覗きます。


 


 

 


次はウワミズザクラです。ばら科サクラ属でサクラの仲間の落葉高木ですが、新枝の先からのびた10〜15cmほどの花穂に、白い5弁の花が多数密集してつきブラシのように見えるところは他のサクラとは全く違います。4月15日に咲き始め3日ほどで満開になりましたが、特徴が分かり易いと思ったので咲き始めの写真を載せました。昔、亀の甲で占いをするとき、この木の材の上に溝を彫って使ったので、上溝(ウワミゾ)といったのがウワミズになったといいます。


 

 


4月後半に花の咲き始めた草はシラユキゲシ、オオジシバリ、ヤグルマギク、ハルジオン、ツタバウンラン、ハナイバナ、ツボスミレ、マルバスミレ、ムラサキケマン、イモカタバミ、オニタビラコ、カズノコグサ、ナガミヒナゲシ、キランソウ、セキショウ、アマドコロ、イヌガラシ、カキネガラシ、イヌカキネガラシ、スズメノヤリ、ミツバツチグリ、ウシハコベ、スズラン、チチコグサ、カキドオシ、チガヤ、ツルジュウニヒトエ、ホウチャクソウ、ハイアオイ、ヤエムグラ、シラー、アカバナユウゲショウ、シラスゲです。2006.05.15にアカバナとして紹介したのは私の勝手な思い込みで、本当は、同じあかばな科ですがアカバナユウゲショウであることが分かりました。お詫びして訂正させていただきます。

 

樹ではヒメウツギ、クサボケ、ウワミズザクラ、イヌザクラ、シロヤマブキ、ゴマギ、ナナカマド、コナラ、クヌギ、クサボケ、サルトリイバラ、エノキ、ケヤキ、フジ、ヤマツツジが咲き始めました。

 

若本 孝雄