三貫清水自然塾活動リポート さいたま市水環境ネットワーク活動発表会・講演会 2011年12月1日(木)午後2時〜午後4時45分 場所 産業文化センター
三貫清水の会は、鴨川の水質検査を行っている関係から、さいたま市の水環境ネットワークの会員になっている。その関係で各種の会合やイベントに参加しています。今回は島村と事務局の沼野さんが参加しましたので、その概要について報告します。
□ 埼玉の水資源と水利用------------------------------------------------ (1)一級河川:16 準用河川:196 (2)県の面積の3.9% ⇒ 全国一の割合 (3)県土に占める河川面積順位 1 埼玉県 3.9% 2 茨城県 3.8% 3 大阪府 3.8% 4 栃木県 3.8% 5 愛知県 2.8% 6 富山県 2.8% (4)河川等流路の総延長 5,392km 荒 川 173km 利根川 322km これらのことから、埼玉県は《川の国》であるといえる。 (5)循環する水 地表水 蒸発 (海水・河川水・地下水・湖沼水・雪・氷河) → → → → 水蒸気・雲 【数十日〜数万年】 降雨・降雪 【約十日】
(6)日本の水資源賦存量と使用量 (7)埼玉県の水を生み出す水資源開発施設 (8)埼玉県の水資源賦存量と使用量(単位は億㎥/年) @ 降水量 48(蒸発散17)、使用量年間26.4、水資源賦存量31、(残り4.6) A 使用量の内訳 農業(12.0)、工業用水(0.75)、生活用水(7.0) 従って、河川水は19.7。県内の降水だけで用水を賄えないのは明白! (9)生活用水使用量の推移 (10) 埼玉県の生活用水使用量(埼玉県土地水政策課「埼玉の水需給」より 給水量(百万㎥ /年)888、県水75%、地表水4%、地下水21%。 (11) 県内の河川と県営浄水場 県営浄水場は5箇所で、行田、吉見、大久保、庄和、三郷にある。 (12) 浄水場・ 下水処理場
【まとめ】 1 埼玉は“川の国” 日本一の河川面積割合(3.9%) 2 埼玉の水需要を県単独では満たせない。 → 水源開発&利根川流域からの導水 3 上下水道による大規模な水輸送
□ 河川水質の概要、名水・絶滅危惧種-------------------------- (1) 埼玉の河川 − 公共用水域の環境基準・類型指定 − 県内の公共用水域測定地点 44河川、94地点 「とてもきれい」「きれい」「ふつう」「ややきたない」「きたない」「とてもきたない」の6段階に分類している。 (2)水質の環境基準 政府が定める環境保全行政上の目標。人の健康を保護し、及び、生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準。 カドミウム、全シアン、六価クロム、砒素、水銀など28項目の毒物と水素イオン濃度(PH)、生物化学的酸素要求量(BOD),浮遊物質量(SS), 溶存酸素量(DO)、大腸菌群数の5項目。 (3)川の汚れ(有機汚濁)の状況 平成2年度と20年度との比較でだいぶ浄化が進んでいることがわかる。 平成21年10月7日付け産経新聞(埼玉版)記事の見出し 「川の水質、過去最高のきれいさに」 (4)埼玉県公共用水域BOD環境基準適合割合の推移(平成21年度) 埼玉県 87% 全国 93% (下水道普及率 埼玉県76.1%) (5)用水域の類型指定と浄水場・下水処理場 (6)埼玉の名水 昭和の名水“風布川・日本水”に加え、平成の名水に4か所が選定。 小鹿野町・毘沙門水、秩父市・武甲山伏流水、熊谷市・元荒川ムサシトミヨ 生息地、新座市・妙音沢。
埼玉県汚水処理人口普及率 87,7%(H21年度) 公共下水道76.1%、農業集落排水施設1.3%、コミュニチィ・プラント0.01、合併処理浄化槽10.3%、その他は、汲み取り便所、単独処理浄化槽の分で、生活雑排水はそのまま川などに流れます。 (8)埼玉県の魚“ムサシトミヨ”とは
【まとめ】
1 河川の汚濁状況は着実に改善 平成21年度BOD環境基準適合割合:86% 2 汚水処理率の向上 平成21年度 下水道普及率 :76,1% 処理人口普及率:87,7% 3 県内各地に貴重な水環境が散在 昭和・平成の名水 河川、湖沼、ため池、湧水、地下水・・・・・
□ 河川水中の栄養塩類にかかる課題------------------------ (1) 河川の汚濁と栄養塩 河川水質の代表的な指標 BOD 「汚濁原因の7割を占める歳活排水を処理することが重要」 (2)窒素・リンによる水質汚濁現象 窒素・リンは生命体に必須の物質(栄養塩) タンパク質、生体内でエネルギー生産 (過剰な栄養塩により植物プランクトンが異常に増殖) (3) 富栄養化とは ・湖沼や内海などの閉鎖性水域で、窒素、燐などの栄養塩類の過剰な流入に より、水域の一次生産量が異常に増大して生態系に異常が生じ、水質累進的に悪化する現象をいう。 ・昨年の夏のプランクトン異常増殖・淡水赤潮 @元荒川A綾瀬川支川B大場川 ・人工的に作られた河川内滞留域 ・埼玉県内河川と東京湾の水質(TN、TP)の比較 @元荒川A大場川B赤平川 (4) 河川流水区間における自濁作用、河川区間における炭素収支(汚れの発生) 日光 摂食・排泄 通過 通過 摂食・排泄 沈殿 再浮上 付着性藻類の剥離 吸着・沈殿 摂食・排泄 蓄積 蓄積 分解・無機化 分解・無機化 (5) 流水区間における河床の状態と水質(河川の富栄養化) 基準値、B類型BOD3r/L (6) 栄養塩の発生源 琵琶湖の例・・・藻類の光合成、含酸素・PHの上昇 □ おわりに-------------------------------------------------------- □ 埼玉県内の河川の水質は改善されている。 □ 栄養塩の存在に起因する課題は改善されていない。 □ 多様な目的で活用される水質源 □ 良好に保つためには「できることをやる」
今日の理解の目標
川の「水質」「様子」 すんでいる「生き物」 関係があることを理解しましょう
(1)はじめに ・ 川の水を調べる →薬品や機械を使って調べる方法(例えばパックテストのような市販品) ・ 生き物(指標生物と呼ばれる)を使って水を調べる方法 ・ 生き物を使った「簡単な水質検査方法」について紹介します。 ・ 川の様子が異なるとすんでいる生き物も異なることを理解することが大切です。(水生昆虫) (2) 生物にとって、川ってどんなところ? ・ 川は、上流・中流・下流へ流れるにしたがって様子が違います。 ・ 川が汚れる大きな理由のひとつは、人が生活する上で使った水が川に流れ込むことにあります。 ・ 川によってすみかとする生き物の種類が変わってくる原因になります。 生物モニタリングの有利な点 @総合的に判断する A水質と水生昆虫 B原生動物付着 C魚→藻類 (3) ことわざ「三尺流れれば水清し」 川の自然浄化作用・・・「小さな生き物(微生物)が川の水の中の汚れを利用するためきれいになる」 川の汚れ → ぬるぬるした「微生物」のかたまり 酸素・エサ → 石の表面(ぬるぬる)→ きれい(酸素消費) (4) 上流域の河川の特徴(荒川支流・横瀬川) 川幅:狭い 川床:岩 水質:きれい 水温:つめたい 明るさ:暗い (5) 下流域の河川の特徴(荒川下流・秋ケ瀬取水堰・さいたま市) 川幅:かなり広い 川床:砂や泥 水質:やや汚れ 水温:温かい 明るさ:明るい (6) 汚れた川(家庭で使われた水が流れ込む川・不老川・狭山市) (7) 「川の様子と生き物」のまとめ ・ 生き物によって「すみか」が違います。 ・ 同じ水質で見つかる代表的な生き物・・・指標生物 ・ 生き物を調べることによって、川の環境を理解することができそうですね。 (8) 指標生物でみる水質の階級 指標生物 生物学的水質段階 (底生動物) (魚類) (付着藻類) Tきれい(貧腐水性) カワゲラ イワナ、ヤマメ 藻がつかない Uやや汚れている(β中腐水性) ゲンジボタル アユ 緑や茶色の藻 Vかなり汚れている(α中腐水性)ヘイケボタル フナ、コイ 緑や茶色の藻 Wきわめて汚れている(強腐水性)イトミミズ タイワンドジョウ 細菌類など (9)指標生物の種類(30種類) 水質階級ごとの指標生物 @きれいな水(T)の指標生物・・・カワゲラ、ナガレトビケラ、ヤマトビケラ、ヒラタカゲロウ、ヘビトンボ、ブユ、アミカ、ウズムシ、サワガニ A少し汚い水の水(U)の指標生物・・・コガタシマトビゲラ、オオシマトビケラ、ヒラタドロムシ、ゲンジボタル、コオニヤンマ、カワニナ、スジエビ、ヤマトシジミ、イシマキガイ B汚い水(V)の指標生物・・・タイコウチ、ヒル、ミズムシ、ミズカマキリタニシ、イソコツブムシ、ニホンドロソコエビ @ 汚い水(W)の指標生物・・・セスジユスリカ、チョウバエ、エラミミズ、サカマキガイ、アメリカザリガニ (10) 水生生物による簡易水質調査法の概要 1調査の流れ (1) 調査地点は、水深30p位で流れがあり、こぶしや頭くらいの大き さの石が多い場所を原則とする。 (2) 調査地点の下流側にアミをおきながら、その地点の石のいくつか 取り上げ、その表面にいる生物を採取する。 (3) また、石を取り上げたあとの川底を足でかきまぜて流れてくる生物 をアミで受け、アミに残った生物を採取する。川底が砂や泥の場合には、 この方法のみで生物を採取する。 (4) 採取した生物の種類を確認する。見つかった指標生物の種類及び 数を記録し、その結果に応じて調査地点の水質階級を判定する。 (11) 恐竜が登場したのは約2億3000万年前の三畳紀後期、絶滅したのは6500万年前の白亜紀。 カゲロウ・・・約3億6700万年前(石炭紀)、世界約3、000種類、日本10科105種以上、幼虫と成虫の関係がわかっているもの80種。 (12) 恐竜が登場したのは約2億3000万年前の三畳紀後期、絶滅したのは6500万年前白亜紀。 カワゲラ・・・約2億4700万年前(二畳紀)、世界約2、000種類、日本9科170種以上、幼虫と成虫の関係がわかっているもの40種類。
(13) 恐竜が登場したのは約2億3000万年前の三畳紀後期、絶滅したのは6500万年前白亜紀。 トビケラ・・・約2億万年前(三畳紀)、世界約10、000種類、日本25科300種以上、幼虫と成虫の関係がわかっているもの80種。 (14) 川における水生昆虫の役割 ・ ・よい面と悪い面 ・ ア)餌エサ生物 ・ イ)食用、薬用 ・ ウ)発電水路で被害 ・ ・川における食う食われるの関係 ・ そうるい ⇒ こんちゅう ⇒ 魚 (15) おわりに 近年、川の生き物に対する関心が高くなっています。住んでいる所の環境を指し示す生き物がいます。生き物を使って調べる方法は生き物のすんでいるところの環境を直接的に知ることができるのが特徴です。 川の水質のとしては、薬品を使った方法と生き物を調べることが一緒に行われることが理想です。
【申し込み書の案内】より抜粋 埼玉県東部に広がる「見沼田んぼ」は江戸時代に見沼代用水を開削し拓かれました。周辺は、水田と斜面林や寺社・古民家など美しい田園風景をなし、多様な生物も生息して、首都圏に貴重な日本の原風景を残しています。散策しながら一緒に、資源と環境の保全を考えてみませんか。 1 日 時:平成23年10月15日(土)10:00出発 当日小雨決行〔荒天時は翌16日(日)〕 2 受 付: 9:00から 3 参加費 : 100円 4 集合場所: 新都心東広場(JR京浜東北線さいたま新都心駅東口徒歩5分) 5 解散場所: 市民の森(最寄駅JR宇都宮線 土呂駅) 【プログラム】 1. 青空教室(12:00から大宮第二公園内) ◇◆見沼代用水開削と江戸の水◆◇ 講師:NPO東京湾と荒川・利根川・多摩川 を結ぶ水フォーラム代表 大石昌男 氏 2.◇◆見沼代用水沿いウォーク(約7.0q)◆◇ ガイド:NPO東京湾と荒川・利根川・多摩川 を結ぶ水フォーラム代表 大石昌男 氏 3.◆清掃活動◆◇ ☆見沼用水沿いフェンス周辺の清掃活動☆ 4.◇◆さいたま「緑の祭典」見学◆◇ ☆ 見沼田んぼの自然環境の展示・・・見沼の動植物(魚類、昆虫等)、農産物直売他。 【農業土木継続教育機構CPD 4単位取得申請】 6.主 催 NPO法人美しい田園21グラウンドワーク日本水工 7.後 援 (財)日本グラウンドワーク協会見沼代用水土地改良区 |