大宮退職校長OB会 懇親旅行  

〜菊と紅葉の渡良瀬渓谷を訪ねて〜H18. 11. 4

 

 昨年に続いての日帰り懇親旅行。総勢24名を乗せたバスは、8時5分に埼玉りそな銀行前を出発。天気はまさに旅日和。バスに乗り込む際にK田、O田弘子両幹事からおつまみとアンケート用紙が手渡され、木目の細かいうれしい配慮が。車内は、にこやかな顔、弾んだ声で溢れ、いい旅夢気分である。

H島幹事の司会で恒例のセレモニー。O串会長のあいさつに続き、O江幹事から日程とコース、見学のポイントの説明。岩槻ICから東北自動車道に乗り、蓮田SA、羽生PAで小休止。前方には、上州白根、男体山、赤城、榛名の山並みが青い輪郭を見せている。佐野藤岡ICで東北自動車道を下りたところで、H島幹事から久保田の千寿が配られ、車内は和気藹々、旅のムードがますます高まっていく。

 

.5mの五重塔がお出迎え

 1020分に大間々ながめ余興場に到着。ここの菊花展は、関東一の規模を誇り、今年で49回を数え、歴史と伝統がある。

西口から入った途端、目に飛び込んできたのが、4.5mの五重塔。屋根は黄色の小菊一色。朱色の欄干とのコントラストが実に鮮やかである。早速、これをバックに記念撮影。菊花展巡りが始まる。まず、定番の大菊三本仕立ての厚物、黄色と白がとりわけ見事だ。盆栽のコーナーには、山水画から抜け出たかのような優雅な味わい深い作品が並び、直幹、文人、多幹作りなど多様だ。ピンクの縮れた菊花の大作りは迫力感がある。千輪咲きともいわれ。大菊種を2年越しで育て、摘芯の工夫によって芽を増やし、一本の幹で数百の花

を咲かせるのだそうだ。色とりどりの前垂懸崖作りも風情がある。特殊作りでは、富士山が色彩豊に、華厳の滝がダイナミックに表現されている。菊人形は、やはりNHK大河ドラマの『功名が辻』。山内一豊と妻の千代そして町人の姿が目を引く。

菊花展の後は、ながめ余興場の見学。この芝居小屋は、昭和十二年の建設で、みどり市指定の重要文化財になっている。ながめ公園から高津戸峡を望む。渡良瀬川の渓谷は、関東の耶馬溪といわれる。ながめ余興場下の高津戸橋からの景観は絶景ポイント。

 やまんちの味は

 ながめ余興場をあとに、次の目的地へ。渡良瀬川と百二十二号の間を縫って、わたらせ渓谷鉄道が走る。対岸の白く輝くススキの穂を背にして走る姿はSL風。草木湖を右手に、草木橋を渡り、12時ジャストに国民宿舎サンレイク草木に到着。郷土色豊な昼食。特に、名物の笹うどんをはじめとした山の幸をふんだんに使った、季節ならではの彩り鮮やかな膳に舌鼓を打つ。アルコールも入り、歓談も和やかに親睦も深まり、有意義なひと時が過ぎていく。

 

 やさしさにいつでも会える富弘美術館

1330分、富弘美術館に到着。昨年、みどり市立としてリニューアルオープン。展示等にも工夫を凝らし、新しい美術館としての機能を備え充実している。

円形の展示室には、心をほぐす作品がやさしい光の中でひときわ輝き、なごみを与える。不慮の事故での長い入院生活から、ふるさとに帰った星野氏を迎えたのは、子どもの頃から慣れ親しんだ四季折々の野の草花や、澄んだ青い空、清く流れる川と山々に囲まれた故郷の自然だった。星野氏の作品は歳月を経て、訪れた人々に生きる勇気や喜びを与えている。車椅子を押してもらいながら食い入るように作品と対峙する人の姿が胸を打つ。

ここで、母の助けを借りながら、口に筆をくわえて二人三脚で絵を描き始めた頃のエピソードを、星野氏自身の言葉で紹介しよう。「 しかし、日がたつにつれて、母の耳は、私が言う何種類もの『ちょっと』の微妙な違いを聞き分けるようになった」。  

 終わりに、一本の赤いチューリップの絵に書かた言葉をかみ締めながら、最後の目的地へ。「ありがとう 私のいのち こんなに 生きられるなんて 思わなかったよ 今、二十一世紀 春」。

 

 買い放題、払い放題

 15時半、桐生織物観光センターに到着。皆、思い思いにおみやげを手にする。一段落したところで4時にバスに乗車し、帰路に着く。渡良瀬川に別れを告げる頃から、車中は遠路から参加の先生方の近況報告で盛り上がる。快適なバスに揺られ、順調に、大宮到着は18時。

 旅は、非日常的な生活である。平凡な日々の生活の中にいかに生きる意義を見出したらよいか。その意味で、今日の懇親旅行は大きな価値がある。今回も周到な計画で、楽しくためになる旅をお世話いただいた幹事の皆さんに、心から感謝申し上げます。