にほんの里100選、決まる
2009年2月8日


 2009年(平成21年)1月6日火曜日の朝日新聞の朝刊に掲載された記事の見出しである。
 紙面によると、朝日新聞創刊130周年・森林文化協会設立30周年事業として、朝日新聞社と森林文化協会が、人々の暮らしによって育まれたすこやかで美しい里を選ぶ「にほんの里100選」事業を進めてきた。
 4474件の応募があり、候補地は2千件以上になった。その中から「景観」「生物多様性」「人の営み」を基準に現地調査し、選定委員会の論議を経て100箇所を選んだ。

 100選の里はわずか数軒の集落から220平方キロに約7千軒が広がる散居村まで大小さまざま。
 朝日新聞では、「里の営みを持続させようと努力を続ける元気な里」を未来へ残していくためにこれからも紙面で紹介していく。
 テレビ朝日系列では各地の里を紹介する番組をスタートさせる。また、4月には名古屋で選定記念のシンポジウムとイベントを開催するということである。

 わが埼玉県からは寄居町の「風布(ふうぷ)」と所沢市・三芳町の「三富新田(さんとめしんでん)」が選ばれた。それぞれの紙面の解説を見てみよう。



●風布……ミカン栽培400年超す
 山に囲まれた丘陵地。温暖で、ミカン栽培は400年を超す歴史を誇る。風布川にはサンショウウオが生息。年中花が咲く桃源郷。

●三富新田……江戸期の地割を生かす
 江戸時代の開拓地割りをそのまま生かす。開口72メートル、奥行き675メートル。家敷、畑、雑木林の順に細長く区画された農村集落。



 なお、選定委員は次の5氏である。簡単にプロフィールを紹介する。(新聞記事より)
■山田洋次(やまだ・ようじ) 委員長、映画監督
■あん・まくどなるど(Ann McDonald) 国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーチング・ユニット所長
■森本幸裕(もりもと・ゆきひろ) 京都大学院教授(景観生態保全論)
■鷲谷いずみ(わしたに・いずみ) 東京大学院教授(保全生態学)
■粕谷卓志(かすや・たかし) 朝日新聞編集担当

  生物多様性の確保、地球温暖化防止そして自然の持続的利用という観点から、この特色ある100選を機会を見つけて訪れてみたいものである。その結果、今までと違った自然観が見えてくるに違いない。

 最後に、朝日旅行では、定番化された観光拠点から一歩踏み込み、100選のテーマに沿ったツアーを随時案内してくれるとのことである。
 観光資源としての枠組みを超え、素朴であるがゆえの新たな旅の魅力をじっくりとそして存分に案内してくれることを期待しよう。


島村道宏