残念な名前
2021・08・07


 ♪ 植物の中には、「なぜ、こんな変な名前が付いているんだろう・・?」と、不思議に思うものがたくさんあります。

 ♪ 俳句で夏の季語になっているヘクソカズラは、変な名前の横綱格。
 ♪ 葉や茎を傷つけると悪臭を放つとはいえ、何しろ、名前に屁(へ)と糞(くそ)が入っています。これはもう残念の一語に尽きます。
 ♪ わが国最古の歌集・万葉集でも、「屎葛(くそかずら)」という名前で呼ばれていますから、これはもう歴史と由緒のある名前と言うしかありません。


 ♪ ヘクソカズラの横で、クサギの花が咲き始めました。
 ♪ 漢字で「臭い木」と書いて、クサギです。葉や枝を傷つけると独特の匂いがするので、付いた名前です。
 ♪ これも残念な名前とはいえ、花は美しくて香りが良いので、蝶などがたくさん集まります。秋には藍色のきれいな実を付けます。


 ♪ 初夏から秋に、かわいい花を咲かせるママコノシリヌグイ。
 ♪ 長く伸びた茎には、トゲがびっしり生えています。このトゲで「まま子」(連れ子)の「お尻」を「こすって」いじめる、という意味の名前です。
 ♪ 韓国では「嫁の尻拭き草」と呼ばれるそうです。いやはや、何とも言いようがありません。


 ♪ 6月から7月にかけ、道ばたなどに咲くヤブジラミ。
 ♪ この小さな白い花が枯れた後、種は「くっつきむし」になります。この種がズボンなどにくっつく様子がシラミ(虱)に似ているということで、ヤブジラミという名前になったそうですが、もっとほかの例えはなかったのでしょうか?


 ♪ 季節は変わって、早春に咲くオオイヌノフグリも、説明するのがはばかられる名前です。
 ♪ 命名者は日本植物学の父≠ニ呼ばれる牧野富太郎博士ですが、イヌノフグリを漢字で書くと「犬の陰嚢」。
 ♪ 「陰嚢」とは何か? ああ、これ以上とても書けません。


松井修一