動き出した「雨水調整池」整備事業
2021・06・12

 ♪ 三貫清水のアシ原や北池で今年も、5月下旬からホタルが飛び始め、少しずつですが、日を追って増えています。観賞に来られる人の数も徐々に増え、ホタルが間近で点滅するたびに、歓声が上がります。

 ♪ このアシ原一帯で今週、さいたま市による除草作業が行われました。



 ♪ ここは北池前の湿地(アシ原)。三貫清水の中でヘイケボタルが一番たくさん発生している場所ですが、ここもアシなどの草がすっかり刈り取られてしまいました。ホタル観賞に来られた方からは、「草を刈り取ってしまって、ホタルは大丈夫?」と心配する声が上がっています。


 ♪ なぜ草刈りが行われているのか? 実は、アシ原一帯に雨水調整池を整備する事業が動き出したからです。
 ♪ 下の写真の看板に「ここは雨水調整池 建設用地です」と書かれています。


 ♪ 雨水調整池とは、大雨が降った時、あふれた水を一時的に貯め、洪水被害を防ぐための施設です。近年は、異常気象の影響で、これまで経験したことのない大雨が増え、各地で雨水調整池などの整備が急がれています。

 ♪ 三貫清水のあるさいたま市北区奈良町はかつて、鴨川の増水で水害がたびたび発生しました。その対策として約40年前、雨水調整池を整備する計画が決定し、用地買収がスタート。しかし、用地買収は遅々として進まず、40年の月日が流れましたが、ここに来て、一気に整備計画が動き出し、その準備作業として、今回の草刈りが行われました。今後は、測量や地質調査などが年内に行われる予定です。

 ♪ 雨水調整池が整備されるのは、下の写真の赤線部分。大きさは南北約300m、東西約60〜70m。右側の雑木林とほぼ同じ大きさの巨大な施設です。これだけの面積が深さ3〜4mに掘り下げられます。


 ♪ 雨水調整池は「池」という文字が入っていますが、いざという時に水を貯める施設なので、普段、水は入っていません。空(から)です。イメージとして、縦300m、横60〜70m、深さ3〜4mの空(から)のプール(池)(穴)が出現する感じ。

 ♪ このアシ原一帯は毎年、ホタルが発生し、キジやオオヨシキリが営巣・子育てを行い、タシギなどの餌場になっていました。雨水調整池が整備されれば、これらの生き物はここから姿を消します。




 ♪ 自然を守ることと、人の暮らしを守ること-----。難しい選択に悩みつつ、われわれの活動は続きます。

松井修一