風媒花が満開
2021・03・01


 ♪ きょうから3月。暦の上では春到来とはいえ、まだしばらくは北風の吹く日が続きます。

 ♪ この寒風の中で、満開の花を咲かせているけれど、ほとんどの人は気づかない木があります。

 ♪ ハンノキです。

 ♪ 南池の前の湿地に生えているハンノキ。


 ♪ こちらは、北池を取り囲むように、水辺に生えているハンノキ。


 ♪ 写真を見て、「一体、どこに花が咲いているの?」と疑問に思うかもしれませんが、咲いています。

 ♪ 枝先にたくさん垂れ下がっている茶色いもの。これがハンノキの花です。


 ♪ 「ハンノキの それでも花の つもりかな」(小林一茶)という俳句があります。確かに、花らしくありません。

 ♪ 花をアップで見ると、こんな感じ。左側に垂れ下がっているのが雄花。右側にある、マッチ棒の頭のようなものが雌花です。雄花から花粉が飛び出し、風に乗って雌花に運ばれ受粉します。


 ♪ ハンノキは「風媒花」の一種です。花粉を風に運んでもらうのが風媒花で、虫に花粉を運んでもらうのが「虫媒花」。

 ♪ 虫媒花は虫をおびき寄せるために、華やかな色と姿をしています。花屋さんに並ぶのはほとんどが虫媒花です。それに対し、風媒花は虫をおびき寄せる必要がないので、地味〜な姿をしています。

 ♪ 地味な姿のほかに、もう一つ、風媒花の特徴は、花粉を大量に放出すること。風に運ばれる花粉は、まさに「風まかせ」。どこに飛んで行くか分かりません。そのため、確実に受粉させるために、大量に花粉を放出する必要があるのです。

 ♪ ハンノキがたくさん生えている地域では、この時期、ハンノキによる花粉症に悩む人もいます。

 ♪ 花粉症といえば、悩ましいのは何といってもスギ花粉。これからまさにピークを迎えますが、スギも風媒花です。大量に放出される花粉は遙か遠くまで飛散します。

 ♪ これは、きょう(3/1)、三貫清水で撮影したスギです。枝先に花らしきものが付いているような、付いていないような・・。花粉のシーズンはまだのようですが、間もなく満開になって、花粉を放出するんでしょうね。


 ♪ これも、きょう、三貫清水で撮影したヒノキです。やはり、風媒花です。スギより1カ月ほど遅れて花粉を飛散させます。


松井修一