ナナフシモドキとエダナナフシ
2020・06・13


 ♪  なかなか会えない昆虫はたくさんいますが、私にとってその一つはナナフシ。

 ♪ 木の葉っぱを食べる昆虫で、その細長い体は枝や葉そっくりに擬態しているので、見つけるのがとても難しい。三貫清水緑地を長年、観察していても、会えるのは2、3年に一度という感じでした。

 ♪ ところが、金子さんが5月初めにナナフシを発見してからは、「こんなところにもいる」「あんなところにもいた!」と、連日の発見続き。(当HPの「金子さんのページ」参照)

 ♪ さらに、触覚の短いナナフシと触覚の長いナナフシがいることも分かるなど、新しい発見がたくさんありました。まあ、ナナフシについての知識がほとんどなかった、というだけの話なんですが・・。

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 ♪ さて、発見した数が多いのは、触覚が短い方の「ナナフシモドキ」。こんな感じで葉っぱの上でじっとしている姿をよく見かけます。「私は葉っぱの葉脈だよ。気づかないでね」と言いたげな風情で、ジッとしています。この個体は頭からお尻まで体長10cmほど。


 ♪ 葉っぱの裏側で、まるで枝の一部のように擬態している姿もよく見かけます。この個体は体長12、3cmほど。割と大きい方です。


 ♪ アップにすると、こんな顔をしています。


 ♪ ところで、ナナフシについて調べていて、疑問が一つ湧きました。名前になぜ「モドキ」が付いているのか? 「モドキ」という言葉は、「似ているけれど本物ではない」という意味です。ナナフシなのに、ナナフシモドキはナナフシではない? 頭がこんがらがりそうです。

 ♪ いろいろ調べていて、納得する説明に出会いました。ナナフシの漢字名「七節」は「木の枝」を表すそうです。七はたくさんという意味で、七節は「節がたくさんあるもの」、つまり「木の枝」。木の枝に似ているけれど木の枝ではない、ということで、ナナフシモドキという名前が付いたそうです。

 ♪ なので、ナナフシモドキが正式名称で、それが略された通称がナナフシという呼び方というわけです。

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 ♪ もう一方、触角が長いのは「エダナナフシ」。触角は胴体とほぼ同じくらいの長さがあります。ナナフシモドキと比べると、長短の差は歴然。この個体はまだ子どもで、体長は4cmほど。


 ♪ このエダナナフシは、この春生まれたばかりの幼児。体長は3cmほど。シデの木の葉の新芽を食べています。


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 ♪ 私が今回、ナナフシを見つけた木は、ほとんどがエゴノキとシデですが、そのほかコナラやケヤキ、エノキなどの木にもいるようです。いずれも、雑木林に普通に生えている木です。

 ♪ ナナフシなんて見たことがない、という人がほとんどだと思いますが、一度見つけてコツをつかめば、意外と見つかります。

 ♪ コツは葉っぱの上でジッとしているナナフシを見つけること。歩きながら、自分の背の高さほどの目線で、木の葉をながめていると、「いた!」となります。1匹見つかると、その付近にもう何匹かいる確率が大。不思議に次々と見つかります。

 ♪ ナナフシはこれから夏にかけて、雑木林で見られます。自然観察の楽しみは奥が深いです。ナナフシ探しにトライしてみては、いかがでしょう?

松井修一