エゴノキの手紙の主は?
2020・06・03


 ♪ 初夏、白い花を鈴なりに咲かせるエゴノキ。


 ♪ よく観察すると、くるくるっと巻いた葉っぱがぶら下がっています。


 ♪ あっちにも、こっちにも。


 ♪ これを、昔の手紙に例えて「落とし文」(おとしぶみ)といいます。

 ♪ 長い和紙に文字をしたため、くるくるっと巻いて、相手に送るあれですね。相手が通りそうな所に恋文を落としておいて拾わせる、といった意味もあるようです。


 ♪ くるくる巻いたこの葉っぱ。偶然にできたものか、それとも誰かの仕業か?

 ♪ 実は、エゴツルクビオトシブミという虫が作ったものです。


 ♪ エゴツルクビオトシブミは「エゴ」ノキなどの葉を食べる甲虫の一種で、体長は1cm弱。首が長いのを鶴に例えて「ツルクビ」という名前が付いています。

 ♪ さて、このエゴツルクビオトシブミは初夏に、葉っぱに切り目を入れ、それをせっせと巻いて、中に卵を1個産み付けます。孵化した幼虫はその葉っぱを食べながら成長します。

 ♪ つまり、くるくるっと巻いた葉っぱは、幼虫の「ゆりかご」だったというわけです。

 ♪ 知ってみると、「なるほど、面白い〜!」という話が、自然界にはたくさんあります。

松井修一