声はすれども …… コジュケイ
2010・06・09

 ♪ 「声はすれども、姿は見えず……」。そんな言葉が一番あてはまる鳥はコジュケイでしょうか。

 ♪ 三貫清水の林と草原と鴨川には、年間、50種類ほどの鳥が姿を見せます。その中で、一番大きな声の持ち主がコジュケイです。

 ♪ 「ピッ、ピュ、クーイ」「ピッ、ピュ、クーイ」「ピッ、ピュ、クーイ」 。これでもか!これでもか!と言わんばかりの大きな声を、三貫清水の林に響かせます。「姿は知らなくても、鳴き声は知っている」という人は多いでしょう。

 ♪ 「ツピー、ツピー」と盛んに鳴くシジュウカラや、「ピーョッ、ピーョッ」と集団でやかましく鳴くヒヨドリも、声の大きさでは、とてもコジュケイにはかないません。

 ♪ しかし、非常に用心深い性格なので、なかなか姿を見せません。林の下生えや草原の中を、ゴソゴソゴソゴソと結構大きな音を立てて歩くので、「ああ、あのあたりにいそうだな」ということは分かるのですが、こっそり近づいても、人間の気配を感じると、薮などの中に素早く身を隠してしまいます。

 ♪ というわけで、姿を目撃することはなかなか難しく、まして写真を撮るなどというのは、それはもう「難事中の難事」と言っても、大げさではありません。

 ♪ ところが、先日、ラッキーにも写真を撮ることができました。「ピッ、ピュ、クーイ」「ピッ、ピュ、クーイ」。おっ、近くにいそうだ、と思い、静かに静かに近づいたところ、逃げずに、薮の中にいました。

 ♪ 薮の中なので暗い写真ですが、姿はくっきり写っています。



 ♪ キジの仲間ですが、体はずんぐりしていて、尾は短く、姿はウズラを一回り大きくした感じ。目を引くのは、頬から喉にかけての鮮やかな赤褐色。背中などには、黒や茶や白の斑紋が並んでいます。明るい所で見れば、色彩がきっと鮮やかでしょう。



 ♪ 5〜6月は繁殖期で、オスは盛んに鳴きます。「ピッ、ピュ、クーイ、ピッ、ピュ、クーイ!」という鳴き声は、「ちょっと来〜い! ちょっと来〜い!」と聞こえると、よく言われます。「かあちゃんこわ〜い、かあちゃんこわ〜い!」という覚え方もあります。

 ♪ 一度に産む卵の数は5〜10個。運が良ければ、この時期、親が数羽の雛を連れて歩く姿を見かけることができるかもしれません。

松井修一