子ダヌキ救出大作戦
2009・11・21

 ♪ 三貫清水の近くに住んでいるAさんから、先日、タヌキの写真を見せてもらいました。手のひらに乗るほど小さいころ(生後1カ月ほど?)から、ほぼ大人に成長したころまで、たくさんの写真が大切そうにアルバムに整理されていました。

 ♪ 話を聞いてみると、「2年前、散歩していたら、道路脇の側溝に・・・」。

 ♪ ところで、タヌキは意外と身近な動物です。街の中で生息しているタヌキも結構います。街の中の巣づくりは、下水管や雨水側溝の中などが多いようです。この巣の中で、春に4〜6匹の子どもを産みます。子どもは生後1カ月くらいから、普通のエサも食べるようになり、2〜3カ月で離乳するそうです。

 ♪ Aさんの話に戻ります。三貫清水の雑木林の北側に、大宮北高校が隣接していて、その周囲にはぐるりとコンクリートの雨水側溝があります。6月の初旬、その側溝の中に、子ダヌキが3匹いました。生後そんなにたっていない赤ちゃんです。側溝の中で動けずにいます。どうやら、雨で側溝が増水し、側溝の中の巣から流されて出てきたようです。

 ♪ 「親ダヌキが助けに来るかもしれない」。そう思って、何時間か様子を見ていましたが、親が来る気配はありません。そのうち体が冷たくなっていきます。「これは助けるしかない」。Aさんは3匹を家に連れて帰りました。

 ♪ 下の写真は、連れ帰った当時の写真です。



 ♪ 犬用のケージに入れたところです。子犬みたいで、かわいいですねー。というか、タヌキも「イヌ科」なので、子犬みたいなのは当然ですが・・・。ちなみに、メスが2匹、オスが1匹です。



 ♪ こちらの写真だと、タヌキであることがよく分かります。



 ♪ 何日か面倒を見た結果、3匹はすっかり元気になりました。しかし、このまま三貫清水の雑木林に放すには、幼すぎます。自然に自立する(巣立つ)まで面倒を見ることにしました。

 ♪ 3匹を庭で飼い始めました。庭はそのまま道路に通じていますから、出入りは自由。いつでも好きなときに出ていくことができます。完全な放し飼いです。タヌキは雑食なので、ドッグフードやパン、野菜、果物などいろいろなものを食べます。



 ♪ 庭には犬もいます。この犬はおとなしくて、小さな動物が好きなので、3匹とは大の仲良し。



 ♪ タヌキの成長は早いです。あんなに小さかったのが、日に日に大きくなっていきます。3匹の個性や性格の違いも徐々に出てきます。2匹は活動的で、昼間もよく動き回っていますが、残りの1匹はどちらかといえば臆病というのか、昼間は物陰に隠れて、なかなか出てきません。



 ♪ 下の写真は、飼い始めて3カ月後。体はすっかり大人になりました。タヌキ特有の体臭も出ています。巣立ちの時が来ています。

 ♪ 1日出かけて帰ってくる、2日出かけて帰ってくる、3日出かけて帰ってくる。そんなことを繰り返しながら、1匹ずつ巣立っていきました。最初に巣立ったのは、あの臆病な性格の1匹だったそうです。



 ♪ 3匹が巣立った後、しばらくの間は、Aさんが犬を連れて散歩に出ると、どこからともなくタヌキが出てきて、一緒に付いて歩くということもあったそうです。




 ♪ 今の時代、都会にタヌキが生息しているなんて、なかなか信じられないかもしれませんが、人目に付かないよう夜間に活動しているだけのことで、実は大都会にもタヌキはたくさんいます。

 ♪ 下のホームページは、東京23区にすむタヌキの情報を紹介するサイトです。このサイトによると、23区にはおよそ1000匹のタヌキが生息しています。

 ♪ 普段はなかなか気が付きませんが、身近なところにも意外な自然があるものです。



松井修一