目立たないけれど美しい  コウヤボウキ
2007・1・25

 ♪ 目立たないけれど美しい花は、世の中にたくさんあります。

 ♪ 三貫清水で咲く花の中で、私が特に美しいと思う花の一つがコウヤボウキです。小さくて、一見、地味な花なので、気が付かない人も結構多いのではないでしょうか。

 ♪ 下の写真は去年11月4日に撮影したものです。花の直径は1センチ半から2センチほど。長く伸びた白くて細い花びらは、先端がくるっと巻き、なかなか上品で優雅な姿をしています。



 ♪ コウヤボウキはキク科の植物ですが、草ではなく、木です ( 落葉低木)。キク科の木というのは、日本では珍しいのだそうです。ただ、木であるといっても、背が低く、枝が草のように細いので、草と間違えられることも多いようです。



 ♪ コウヤボウキは漢字で 「 高野箒 」 と書きます。その昔、奈良の高野山で、この枝を束ねてホウキ ( 箒 ) に使ったことから、その名前が付いたといいます。

 ♪ 調べてみたところ、この木をホウキに使った歴史は実に古く、万葉集にも登場します。大伴家持の 「 始春 ( はつはる ) の初子 ( はつね ) の今日の玉箒 ( たまぼうき ) 手に取るからに揺らぐ玉の緒 」 という歌です。

 ♪ 古来、天皇家では初春に、コウヤボウキを束ねたホウキで、蚕室 ( カイコを育てる部屋 ) を清める儀式があり、正倉院の宝物の中にも、その玉箒が納められているそうです。

 ♪ そんな歴史があることを知った上で、改めて花を見ると、一段と優雅な姿をしているような気がしてしまいます。

 ♪ ところで、三貫清水でコウヤボウキが咲くのは例年10月から11月上旬ごろ。
 花が終わった今の時期は、下の写真のような姿をしています ( この写真は今月上旬に撮影したものです ) 。


松井修一