「 虫聞き 」「 虫売り 」は日本独特の文化


 ♪ 9月30日の「若本さんのページ」に書かれていますが、三貫清水で今年はスズムシが夏以来、「リーン、リーン」ときれいな声で盛んに鳴いています。

 ♪ 当会のスズムシおじさん・小越さんはここ数年、自宅で育てたスズムシを三貫清水に放虫してきました。今年は放虫していないそうですので、昨年までに放虫したスズムシが自然繁殖したようです。

 ♪ 調べてみたところ、養殖したスズムシを自然放虫しても、自然の中で繁殖する例は滅多にないそうです。

 ♪ スズムシはもともと非常に弱い虫なので、アリに襲われる、トカゲや鳥に食べられる、キリギリスなどバッタの仲間にも食べられる ------ というわけで、放虫したスズムシが外敵だらけの自然の中で繁殖するのは大変難しいことなのだそうです。

 ♪ その意味では、三貫清水で自然繁殖したというのは、かなりすごい出来事なのかもしれません。


 ♪ 話は変わりますが、スズムシについて調べていたら、面白い話題がありました。

 ♪ 秋、家の周りでは、コオロギなどが鳴き声を響かせます。野に出れば、マツムシなどいろいろな虫が、競い合うように鳴いています。自宅でスズムシを飼っている人もいます (私も小越さんからスズムシをもらって、育ててきました )。

 ♪ 虫の音を楽しむことを「虫聞き」といいますが、こうした楽しみは実は諸外国には見られない日本独特の文化である ------ と、「ぐんま昆虫の森」園長の矢島稔さんが書かれています。

 ♪ 以下は、矢島さんの文章からの受け売りです。

 ♪ 虫聞きが日本独特の文化であることを発見したのは、「耳なし芳一」などの作者である、あのラフカディオ・ハーンこと小泉八雲だそうです。

 ♪ 新聞記者だったラフカディオ・ハーンが米国から来日したは1890年(明治23年)。秋に虫の音を聞いて楽しむ日本人を見て、「世界のどこにも、こういう国はなかった」と驚きます。そして「虫売り」という商売があるのを見て、さらに驚きます。

 ♪ ラフカディオ・ハーンは虫売りのルーツを探り始めます。そして、江戸時代の元禄年間(今から300年ほど前)に、虫売りが江戸の神田で商売として始まったことを突き止めます。

 ♪ 日本人自身は不思議に思わなかった虫聞きのルーツを解き明かしたのは、外国人のラフカディオ・ハーンの大きな功績だった、というわけです。

 ♪ 面白い話だなーと、痛く感動してしまったので、紹介しました。


 ♪ 話はまたまた変わります。

 ♪ 秋の半ばの今の時期は、三貫清水で見られる鳥の種類が少ない時期です。

 ♪ 夏の間中、けたたましい声で鳴いていたオオヨシキリなどの夏鳥は、既に東南アジアなどに帰りました。およそ、台風の来るころが、夏鳥が南に帰る時期になります。
 カモなどの冬鳥が中国大陸やロシアなどから飛来するのは、まだ3、4週間ほど先です。

 ♪ というわけで、今月末ごろまでは、ムクドリやヒヨドリなどの留鳥しか見ることができません。とはいえ、先の日曜日(10月2日)、コジュケイを見ることができました。親鳥が子どもを3羽ほど連れて、歩いていました。

 ♪ 私としては、三貫清水でコジュケイの姿を見るのは久々です。草むらの中で姿を隠しながら鳴いているのを聞くことはよくありますが、姿を見る機会は最近めっきり減りました。

 ♪ 十数年前、三貫清水の林は、木がうっそうと生い茂っていました。今は整備されて木が減り、見通しが良くなってしまったので、コジュケイが減ってしまったのかもしれません。

 ♪ 三貫清水の横を流れる鴨川で毎日見られるのはバンやカイツブリです。

 ♪ カイツブリがザリガニをつかまえて、食べているのを、ちょうど見ることができました。





 ♪ 鴨川は生活雑排水などでかなり汚染された川なので、魚はあまりいません。汚染された水の中でも元気に繁殖するザリガニが、カイツブリの「主食」であるようです。

 ♪ こちらはバン。水草の茎や草の実などを食べます。




 ♪ ついでにといっては何ですが、最後に虫の写真を2枚。

 ♪ 秋の深まりを告げる、おなじみアキアカネ。




 ♪ ジョロウグモのクモの巣にツクツクボウシがつかまっていました。



 ♪ 三貫清水の林では、ツクツクボウシがセミの季節の掉尾(とうび)を飾ります。ジョロウグモは産卵の季節が近づいています。これから秋が深まるにつれ、ジョロウグモのメスのおなかは卵でふくらんでいきます。


松井修一