♪ 今年も三貫清水のホタルは終わりに近づいてきました。
♪ 例年の発生状況を見ると、出始めが早かった年は終わりが早く、出始めが遅かった年は終わりが遅い、という傾向があるようです。
♪ その年の最後のホタルが観察されたのは、平成12年が9月3日、13年が9月5日、14年が9月13日、15年が9月10日、16年は8月31日でした。
♪ 今年は発生が全般的に遅かったので、せめて次の日曜日(11日)ごろまで発生してくれないかな……と思っています。
◇ ♪ ところで、今年は面白い発見がありました。
♪ 8月28日の夜、ホタル観察に行った際、アシ原の一角に、非常に強く光っているホタルが何匹かいました。三貫清水のホタル(ヘイケボタル)は体が小さいので、光は通常それほど強くありません。しかし、この時はあまりに強く光っていたので、一緒にいた人と「こんなに明るく光るのを見るのは初めてですね」などと話しました。
♪ 不思議に思い、顔を近づけてみると、黒いものがササーッと動きました。よく見ると、そこにあったのはクモの巣で、ササーッと動いたのはクモ。光っていたホタルは、クモの巣につかまっていたのでした。
♪ ウチワでそっとすくい上げ、クモの巣から外してやろうと思いましたが、ホタルはクモの糸で全身グルグル巻き。ピクリとも動きません。既に仮死状態です。それでも、これまで見たことのないような強い光で、ピカッ!ピカッ!と光っていました。
♪ その時、思い出したのは、以前に聞いた「ホタルは敵をおどかそうとする時も光る」という話です。ホタルの成虫が光るのは、第一にオスとメスが出会うためですが、自分の身を敵から守るためにも光るという話です。
♪ その話を聞いたときは、「へー、そういうこともあるのか……」と思いましたが、実際にそのような場面を見たことはありませんでした。クモの巣につかまりながら光っているホタルを見て、「既に仮死状態になっても、外敵をおどかすために必死に光っているんだな」と実感しました。
◇ ♪ 8月16日の当HP掲示板に、みつさんが「20年位前、浦和の塚本の田んぼの一帯でも、車のハザードランプを点けておくと、ホタルがそれを目指して飛んできました」と書かれています。
♪ ホタルの成虫が光るのは、オスとメスのラブコールです。光りながら、相手を探し、交尾します。私の経験ですが、オスが数メートル先のメスを見付けて、一直線に飛んで行くのを見たことがありますので、ホタルは結構、目が良いのではないかなと、私は思います。
♪ 車のハザードランプを点滅させると、その光をメスだと感違いしたオスが集まってくるというのは、よくあります。
♪ 以前、インターネット上で「ホタルライト」というのが売られているのを見たことがあります。これは懐中電灯のような形をしたライトで、1分間に数十回、点滅するようにできています。ホタルのいそうな所を、このライトで照らすと、ライトの光に反応して、ホタルが光るそうです。
♪ ただ、ハザードランプにせよ、ホタルライトにせよ、人工の光でホタルを照らしたり、集めたりするのは、自然を乱すことになります。
◇ ♪ ホタルが光るのは成虫だけではありません。水の中にいる幼虫も光りますし、実は卵も光る。つまり、ホタルは生まれてから死ぬまで、一生の間、ずっと光り続けます。
♪ ホタルの成虫が光る理由は、オスとメスのラブコールだということで、説明が付きますが、幼虫にラブコールは無関係。それでは、幼虫もなぜ光るのか? 理由はよく分からないようですが、外敵に襲われたりしたときに強く光ることは知られています。
♪ 当会の「ホタルおじさん」赤木さんが自宅で人工飼育されているホタルの幼虫を、これまで何度も見せていただいていますが、幼虫が光らないときに無理矢理、光らせる方法があります。水槽の中に手を入れて、水を乱暴にグルグルとかき回すのです。すると、幼虫は外敵に襲われたと思うのでしょうか、ピカピカ光り始めます。
♪ やはり、ホタルが光るのは、@オスとメスがラブコールするときA外敵に襲われたとき------の2つのケースがあるようです。
◇ ♪ ところで、ホタルの幼虫が光っているのを見たことがある人はほとんどいないと思います。以前に掲載した写真ですが、幼虫が光っている写真を紹介します。
♪ まず、ホタルの幼虫はこんな姿をしています。お尻のところに光る部分(発光器)が2つ付いています。

♪ この写真はホタルの幼虫が水槽の中で光っているところです。左に1匹、右にもう1匹います。光の点が2つずつあります。

♪ 少し明るくして撮影した写真です。中央に幼虫が1匹います。上が頭、下がお尻です。お尻のところが光っているのが分かりますか?

♪ 幼虫は春、桜が満開になるころ、雨の降る夜に、水中から出て土の中にもぐり、サナギになります。ピカピカ光りながら水中から出てくる姿は、なかなか感動ものだそうです。私はまだ見たことがありません。ぜひ一度見てみたいものだと思っています。
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