続 : 「地上に落ちたドングリは今」


 ♪ 「秋、地上に落ちたドングリは今……」というタイトルで、2月2日に、コナラのドングリの発芽の写真を掲載しました。

 ♪ あの時、ドングリは冬の寒さの中で、地中に根を張っていました。暖かくなった今、新芽が空に向かって、しっかり伸び始めています。

 ♪ 2月2日に掲載した時は、こんな感じでした。



 ♪ 下の写真は4月17日の日曜日に撮影したものです。



 ♪ 新芽が4、5センチの長さまで伸びています。葉っぱは、まだ開いたばかりという感じで、初々しい色と姿をしています。
 順調に成長すれば、1、2年で20センチほどの高さになり、10年、15年かけて、大木になっていきます。

 ♪ ところで、ドングリが発芽している場所は、土に湿り気がある所です。ドングリは乾燥に弱いので、発芽するためには、適度な湿り気が必要です。枯れ葉に埋もれると、さらに発芽しやすくなります。

 ♪ 発芽したドングリが順調に成長するためには、もう一つ条件があります。「木漏れ日程度の柔らかな日光」です。
 ドングリの新芽にとって、「直射日光」は強すぎるので、新芽は焼けて枯れてしまいます。

 ♪ コナラの林は冬、葉を落とすので、日光が地上に直接届きます。この時期、ドングリは地中に根を伸ばし、地上に芽は出ていません。

 ♪ 春になり、木々の枝から新芽が伸び、コナラの林が緑色に覆われると、地上に届く日光は柔らかな陽差しに変わります。
 この「適度に明るい木漏れ日」が降り注ぐころ、ドングリは新芽を伸ばし始めます。

 ♪ つまり、冬は葉が落ち、春に葉が茂る林の中で、ドングリは発芽し、成長する仕組みになっているわけです。自然の不思議なメカニズムですね。

 ♪ コナラの落葉樹の林の中に、スギやアラカシなどの常緑樹が増えると、これらの植物の葉が年間を通して日光をさえぎり、地上に日光が届かなくなります。
 すると、ドングリは発芽・成長できなくなり、コナラやクヌギを中心とする落葉樹の林は、スギやアラカシなど常緑樹の林に姿を変えてしまいます。

 ♪ スギ、アラカシ、ササなどを伐採し、伸びすぎたコナラやクヌギを間引く-------人の手による、こうした定期的な作業によって、雑木林は守られていきます。

松井修一