「林」と「森」の違いは?


 ♪ 当会の「意見交換・親ぼくの会」を2月13日、奈良町自治会館で開き、にぎやかに懇談していたら、Mさんから「林と森の違いは?」という話が出ました。

 ♪ 国語辞典を引くと、「林は樹木の群がり生えた所で、森は樹木が茂り立つ所」(広辞苑)などと書いてありますが、Mさんは先日、テレビか何かで、「人の手が加えられたのが林で、人の手が加えられていないのが森」という説明を聞いて、「へー、なるほど!」と、いたく納得したそうです。

 ♪ 面白い話でしたので、続きを少々……。

 ♪ その説明によると、「はやし(林)」は「はやす(生やす)」からきていて、人が木を植え育てたもの。「もり(森)」は「もり(盛り上がる)」からきていて、大地から自然に木が生え盛り上がったもの。

 ♪ 木がたくさん茂って面積が広いのを森、木がそんなに多くないのを林だと思っていた人も多いと思いますが、規模や面積は関係ないのだそうです。

 ♪ その意味からいえば、三貫清水の林はまさに「人が育てた雑木林」です。そもそも雑木林は、人が木を植え、長い時間かけて育ててきたものです。雑木林を「里山」とも呼びますが、それは人と深い関係を持っていることを示すものです。

 ♪ 現在の東京から埼玉にかけての「武蔵野」一帯はその昔、一面のススキの草原だったそうです。江戸時代に入って、田畑の開墾が進められ、それに伴って雑木林がどんどん作られていきました。われわれが見慣れている武蔵野の雑木林の風景は、江戸時代に人の手で作られたものだったんですね。

 ♪ 雑木林を形成するクヌギやコナラなどの落葉広葉樹は、燃料(まきや炭)に最適であり、落ち葉は田畑の肥料(たい肥)に不可欠だったわけです。

 ♪ 生長したクヌギやコナラは、定期的に伐採されることにより、切り株から新芽が伸び、雑木林が更新されていきます。また、笹(ササ)や雑草に覆われてしまうと、雑木林が維持できなくなるので、定期的な下草刈りも必要です。

 ♪ こうした定期的な「手入れ」が行われることにより、雑木林は生き生きとした状態に保たれ、人の生活に「恵み」をもたらしてきました。

 ♪ しかし、第二次大戦後、エネルギーの主流が石油・石炭になり、田畑の肥料も化学肥料に取って代わり、雑木林は段々、放置されていきます。放置された雑木林は、クヌギやコナラの新芽更新が行われず、笹や常緑樹が茂って鬱蒼(うっそう)と暗くなり、ごみの不法投棄場になってしまう----。それが、雑木林が現在置かれている全国的な状況です。

 ♪ 三貫清水の林も、まきや炭を取るため伐採されたのは、もう20年か30年前のはずです。この林を生き生きとした状態で残していくためには、きちんとした「手入れ」がそろそろ必要な時期を迎えていると思われます。

 ♪ いろいろ調べてみたところ、そんなに多くはありませんが、雑木林を保全する取り組みが各地で行われています。

 ♪ 下に紹介するのは、大阪府交野(かたの)市が行っている「里山(雑木林)指導員」制度です。市がボランティアを募集して、雑木林の管理技術を講習し、行政と住民が協力して雑木林保全活動に取り組んでいます。




里山は、地域の生活環境を保全し、地域固有の景観を形成するとともに、多様な生物の生息場所にもなっています。
このような貴重な里山を守り、育てていくために市民のみなさんの力を求めています。
第5回(平成16年度)
『里山指導員(ボランティア)育成講座』
ただいま開催中
■期間  16年6月〜17年3月         (計10回)
■場所  いきものふれあいの里及び交野山森林公園内
■対象  市内在住の18歳以上の健康な人で、里山の管理活動をする意思のある人
■定員  約30名
■申し込み 往復はがきに住所、氏名、年令、電話番号を記入のうえ、5月21日(金)<消印有効>までに、〒576−8501交野市役所農とみどり課「里山指導員育成講座」係へ郵便でお申し込みください。平成16年度の受講生募集は、終了しました。 


  講座の内容
■6/27(日)
開講式・オリエンテーション
<交野山の自然>

講義:森のしくみを調べる
(人工林と雑木林の違いを知る)
実習:自然観察会
(樹木や植物の知識を得る)
■7/25(日)
<里山の管理@>


講義:里山の成り立ちと管理の目的

実習:雑木林の下草刈り
■8/22(日)
<里山の管理A>


講義:●地元の方との交流
(活動地の山と人との関わり)
    ●交野山周辺の歴史

実習:植生調査
■9/26(日)
<里山の管理B>

講義:里山の管理計画

実習:雑木林の下草刈り
■10/24(日)
<里山の管理C>


講義:選択刈り、除伐の目的・道具(ノコ、ナタ)の使い方

実習:樹木の選択刈り
■11/28(日)
<里山の管理D>


実習:雑木林の資源活用

講義:ほだ木づくり
■12/12(日)
<竹林の管理>


講義:竹林の現状と管理方法

実習::竹林の除伐作業
■1/22(土)・23(日)
<竹炭の製作>


講義:竹の活用(竹炭の焼き方)
実習:竹材の搬入、窯入れ、火入れ、窯だし作業
■2/22(日)
<用材林の管理@>


講義:人工林の現状と間伐の方法

実習:人工林の間伐作業
■3/21(日)
<用材林の管理A>


実習:人工林の間伐作業

修了式:講座のまとめと修了証の授与

■今までの講座開催状況
第1回(平成12年9月〜平成13年3月)   受講生31名
第2回(平成13年6月〜平成14年3月)   受講生31名
第3回(平成14年6月〜平成15年3月)   受講生32名
第4回(平成15年6月〜平成16年3月)   受講生32名





里山指導員育成講座 (平成14年度の事業概要)

テーマ
開催日・場所
内              容
『交野山の自然』

6/23(日)
いきものふれあいの里
開講式・オリエンテーション
【講義】
●森のしくみ(森の成り立ちと、そこに暮らす生き物たち)
【実習】
●フィールドハイキング(ハイキングしながら実習地を観察する)
『里山の管理@』

7/28(日)
いきものふれあいの里
【講義】
●里山の成り立ちと人とのかかわり
●里山管理の目的と手法
【実習】
●道具(カマ)の使い方と手入れの仕方
●雑木林の下草刈り
雑木林の下草刈り風景
『里山の管理A』

8/25(日)
倉治公民館
【講義】
●地区住民と里山のかかわり
実習地である倉治の山と住民との関わりについて、地区の長老から山仕事や山の恵み、植生、また山に対する思いなどを語ってもらい、講座生との意見交換などの交流を図った。
●交野山周辺の歴史について
交野山周辺の歴史、文化財などについて、スライドを使いながら交野市文化財事業団職員の講演を聴き、実習地の山についての知識を深めた。
地区住民との交流
『里山の管理B』

9/29(日)
いきものふれあいの里
【講義】
●里山の植生を調べる
樹木しらべの目的や方法について講義を受け、各班毎で5m角中の樹木を調べ、除伐予定の木に印を付けていった。
【実習】
●雑木林の林床整備
実習地でノコ・ナタの使い方の説明を受け、各班毎に印を付けた木を除伐した。
除伐する樹木を調べる
『里山の管理C』

10/27(日)
いきものふれあいの里
【講義】
●里山の管理計画

【実習】
●樹木の選択刈り
樹木の倒し方の説明。実習地の下草刈りや常緑低木の除伐を行う。
常緑低木の除伐作業
『里山の管理D』

11/24(日)
いきものふれあいの里
【実習】
●樹木の選択刈り
実習地の下草刈りや主に常緑樹の除伐を行った。
除伐材を使って、斜面地に木道づくりとして、階段づくりを行った。
階段づくり
『竹林の管理』

12/15(日)
源氏の丘
【講義】
●竹林の管理
竹林の現状と管理の方法についての講義を行った。
【実習】
●竹林の整備
実習地で竹林の間伐を行った。
竹林の除伐
『竹炭の製作』

1/25(土)
1/26(日)
源氏の丘
1/25
【講義】炭焼きのお話
【実習】竹材の搬入と炭材の窯入れ作業・火入れ・火の番
1/26
【講義】五月山の里山保全
【実習】竹炭の窯出しと竹細工(食器作り)
炭材の窯入れ作業

『用材林の管理@』

2/23(日)
交野山森林公園
【講義】
間伐はなぜするのか、間伐の選定など人工林の現状と間伐の方法や山林作業の安全確保について講義をうける。
【実習】
実習地で人工林の間伐作業を行う。
人工林の伐採の様子
10 『用材林の管理A』
3/23(日)予定
交野山森林公園
【実習】間伐作業
(修了式)


松井修一