昆虫の冬越し


 ♪ 暖冬とはいえ、1月末から2月にかけてのこの時期は、1年で最も寒い季節です。
 この厳寒の季節にわざわざ登場して活動し交尾する変わり者の昆虫もいますが、多くの昆虫は寒さにじっと耐えて春を待っています。

 ♪ あるものは成虫のまま、あるものはサナギで、あるものは卵で冬を越します。
 先日の日曜日(23日)、成虫のまま越冬する昆虫を探してみました。

 ♪ 下の写真の茶色の昆虫はマルカメムシです。体長は5ミリほど。成虫のまま冬を越します。
 三貫清水の林の横に立っている電柱の根元の石の下で、何匹も固まっていました。




 ♪ マルカメムシは春から秋にかけクズの葉やツルにたくさん付くカメムシです。時々、住宅にも飛んで来て、洗たく物などに止まります。それと知らずに洗たく物を取り込んでしまい、強烈な臭いにびっくりした経験はありませんか?

 ♪ 写真では、手前の何匹かが、おなかを上にひっくり返っていますが、私が石をめくったときにひっくり返ってしまったのだと思います。
 指でつついても動きません。冬眠中というより、仮死状態と言った方がいいでしょうか。

 ♪ 成虫のまま越冬する昆虫は、なるべく温かい場所を選びます。温かい場所というのは、西向きの斜面や、日のよく当たる石垣などです。
 特に、コンクリートの電柱は昼間、太陽の熱をよく吸収するので、テントウムシなどがよく集まるそうです。

 ♪ 冬が近づくと、同じ種類の昆虫が互いに呼び合うように集まり、固まって越冬するのですから不思議ですね。




 ♪ 上の写真はケヤキの木です。
 ケヤキの樹皮の裏側にも、越冬する虫が集まります。樹皮をめくってみましょう。




 ♪ 上の写真の真ん中にいるのは、多分、コバチの仲間です。体長は3ミリほどでしょうか。
 コバチは体長数ミリの小さなハチで、たくさんの種類がありますが、面白いのは、特定の植物の花にだけ集まる種類がいることです。

 ♪ たとえば、イチジクコバチが集まるのはイチジクの花だけです。他の昆虫はイチジクの花には集まりません。
 つまり、イチジクはイチジクコバチが花粉を運んでくれることによって実を付けることができるし、イチジクコバチはイチジクがなければ生きていけない、という共生関係にあります。
 イヌビワオナガコバチとイヌビワも同じような共生関係にあります。

 ♪ コバチの話題は、そのうち、もう少し調べて、別の機会にまた書いてみたいと思っています。


松井修一