一貫清水、三貫清水、百貫清水

 ♪ 世の中には、何事にも、似た名前があります。三貫清水と縁のありそうな名前を紹介します。

  ♪ 「三貫清水」という名前は、その昔、三貫清水の湧き水でお茶を飲んだ太田道灌(おおた・どうかん)が、水のおいしさに喜んで、村人にほうびとして三貫文のお金を与えた、という故事にちなんでいます。

  ♪ 三貫文のお金というのは、現在の価値でいえば、20万円とか30万円というお金になるそうです。調べてみたら、水のおいしさを表すのに、「○貫文」という名前を付けた湧き水が、全国にいくつかありました。

  ♪ 何といっても有名なのは、福島県の裏磐梯にある「百貫清水」。五色沼の近くにあって、昭和60年に日本名水百選の一つに選ばれています。この百貫清水は小野川湧水群の源流となっている直径7メートルほどの大きさの泉で、水底から砂を吐き出すように地下水が湧き出しています。


 ♪ 泉には、長い柄のひしゃくが置いてあり、それで自由に水をくんで飲めるそうです。案内板には、名前の由来が「その昔、百貫以上の価値があるとたたえられた」と書かれています。



 ♪ 岡山県の鎌坂峠の頂上近くには「一貫清水」があります。この湧き水は一貫文の値打ちがあるといわれ、名が付いたそうです。ここには、宮本武蔵にまつわるエピソードがあります。17歳になった武蔵が、故郷の宮本村から修行の旅に出るとき、竹馬の友と一貫清水の水で別れの杯を交わした、というものです。

 ♪ 石川県志賀町にも「一貫清水」という湧き水があり、昔から山仕事に従事する人々の飲み水として使用されていたそうです。「一貫清水」という名前は、全国にいくつもありそうです。

 【お断り】今回掲載した百貫清水の写真は、私が撮影したものではなくて、人様のホームページから借用したものです。


松井修一