西日暮里の太田道灌
2004.05.31

 ♪ 東京・山手線の日暮里駅前で太田道灌(おおた・どうかん)に会いました。
 会ったといっても銅像ですが、三貫清水と縁の深い太田道灌の銅像がこんなところにあったなんて知りませんでした。皆さん、知っていましたか?
 調べてみたところ、有楽町の東京国際フォーラム(昔の都庁跡にある建物)にも銅像があるそうです。


  ♪ さて、日暮里駅前の銅像は駅前のロータリーにあります。台座も含めた高さは8m。狩りに出かけた道灌が、馬にまたがり、弓を射る姿が、勇ましく躍動感あふれる銅像になっています。この銅像は有名な「山吹伝説」にちなんだものだそうです。

  ♪ 山吹伝説とは、狩りに出かけた道灌が雨にあい、近くの農家で蓑(みの)を借りようとしましたが、その家の少女がヤマブキの花を差し出し、「七重八重 花は咲けども山吹の みの一つだに なきぞかなしき」(後拾遺集・中務卿兼明親王)の和歌を詠んだという、おなじみの話です。
 少女の家に蓑がないことを、ヤマブキに実(み)が付かないことに例えたものです。道灌は、これから和歌の道にも励むようになったといわれます。

  ♪ ところで、道灌は、扇谷上杉氏の武将で、1457年に江戸城を築城したのをはじめ、川越城の修築などを手がけました。また、江戸、川越の防衛にあたり、扇谷上杉氏の勢力伸張に力を尽くした、とされています。しかし、大武将・道灌の名声が主家をしのぐほど高まったのを主君・上杉定正が危惧し、暗殺されます。


  ♪ 三貫清水に来た道灌は、「おいしいお茶だ」と言って、三貫文のお金を村人に与えましたので、私にとって道灌は優しい武将というイメージが強かったのですが、日暮里駅前の銅像を見て、動乱の戦国時代を生きた武将であることを再認識しました。

  ♪ 銅像とはいえ、「姿」を見ると、その人の存在がぐっと身近に感じられます。そのうち、機会があれば、東京国際フォーラムの銅像にも会ってみたいと思います。


●東京国際フォーラムの太田道灌


松井修一