君にも会えたね ミズイロオナガシジミ

 

まるで梅雨の間の晴れ間の日のように蒸し暑い5月30日、午後1時から1時間ほど三貫清水の森を散歩しました。短い時間でしたが、貴重な出会いがたくさんありました。

順次そのリポートを行いますが、今回はミズイロオオナガシジミを紹介します。このチョウをこの森で見かけたのは10年ぶりくらいでしょうか。しばらく以前ほどチョウに注意をはらっていなかったせいもありますが、これも、もういなくなってしまったものと思い込んでいました。ちょっと高い木にとまっていたのですが、枝を強引に下に引っ張って曲げて、至近距離までカメラを近づけて撮影しました。そんなことをしても少しも逃げませんでした。このチョウの仲間は夕方になると飛ぶのですが、昼間はじっとしている習性があります。ただし、このチョウは飛ぶのはへた。チョウの中にもいろいろあります。

「オナガシジミ」と名がつくチョウは我が国では3種類います。ほかの2つは、関東では平野部では生息せず山地にしかいないのですが、これだけは平野部にもいます。以前はちょっとした林があればこのチョウは珍しくありませんでした。しかし、よくいるチョウでしたが、気品のある模様(私の主観ですが)が気に入っています。

よく見ると赤丸で囲った黒い線が途中で切れていますが、これは上の羽と下の羽の分かれ目です。標本にしてしまうと分からなくなってしまうのですが、とまっている時には下の羽の線の延長上に上の羽の線がきます。ある昆虫好きのエッセイストの「チョウの模様というのはとまっている姿のとき、その本当の形をみせる」という意見を最近読みました。そう言われれば確かにそうです。例えばアカタテハというチョウには赤い帯状の模様が上下の羽にあります。このチョウは羽を広げてとまるのですが、その姿勢だと上下の赤い帯がつながり、さらに左右の羽も合わせると一つの輪のような形になります。造化の神が何かをお考えの上決めた模様、これからは、とまっている時の模様に注目したいと思っています。

2004/5/30 馬場一秋