夕暮れ時の華麗な飛翔 アカシジミ

 

これも5月30日に確認しました。このチョウや一つ前に報告したミズイロオナガシジミ、あるいは埼玉県のチョウであるミドリシジミ(知ってましたか?)など、森林に住み、樹上を棲み家とするやや大型のシジミチョウ の一群を総称して「ゼフィルス(Zephyrus)」といいます。ギリシアの西風の精ゼフュロスが語源で、そよ風の精という意味があります。セフィーロという車がありますが、語源は同じだそうです。

このゼフィルスに含まれるチョウは全部で25種類います。そのうち13種はミドリシジミの仲間で(オオミドリシジミとかハヤシミドリシジミなど)、アカシジミの仲間はこのアカシジミとウラナミアカシジミ、ムモンアカシジミの3種類がいます。また、ゼフィルスの仲間はこのアカシジミもそうですが、ほとんどが後の翅に、ツバメの尻尾のような「尾状突起」をもっています。尾状突起」があるシジミチョウはこれがないシジミチョウよりやや数が少なく、珍しさという点で1ランク格上と私は判定しています。

このチョウは森林の緑をバックに華麗に飛んでいる姿が絵になります。ゼフィルスの仲間は昼間はあまり活動せず、飛ぶのは夕方になります。採集する時は、わざと活動しない日中をねらい、柄の長い捕虫網や竿で木の枝をたたき、ふわふわと飛び立つところを捕まえます。

一年で最も日が長いこの時期、夕暮れ時に三貫清水の森を散策して、アカシジミの可憐な姿を眺めてください。お金では買えない贅沢が味わえます。

2004/6/5 馬場一秋