大坂なおみ選手に来たチョウ

 メルボルンで行われたテニスの全豪オープンで大坂なおみ選手が見事優勝しました。 完璧な女王のプレー、横綱相撲でした。  
このトーナメントの3回戦で、大坂選手にチョウが近づいてきて顔や足に止まるというハプニングがありました。尚、肖像権の問題など写真はそのまま使えないのでこれは絵を使います。



 このチョウが何であったか、さっそく調べてみましたが、タテハチョウ科の heteronympha merope という名のチョウのメスのようです。


 
 オーストラリア固有の種だそうで、同じものは日本にはいません。しかし良く似たものが日本にもいます。ヒメアカタテハという種類です。色合いがよく似ていて飛翔していたら区別できないでしょうね。


 ヒメアカタテハもモンシロチョウなどと同様春の使者の代表で、今年は暖かいので近々姿を見せるかもしれません。

 出現が早いことから、以前は成虫で越冬すると考えられていました。ところが越冬する種は前年の秋ごろから半年以上生きていますので、春に出てくる頃には翅はボロボロになっています。キタテハ、ルリタテハ、ムラサキシジミ、ウラギンシジミ、皆そうです。例えばヒオドシチョウはこんな姿で出てきます。歴戦の勇士という感じです。尚このチョウも2016年以降見ていないのが心配です。



 ところが、このヒメアカタテハは羽化したばかりのようにな美しい姿で出てくるのです。そのため、越冬はしていないのではないか、という見解がでてきて、論文も出ています(但し、上のヒメアカタテハの写真は夏撮影したものです)。
 類似のアカタテハ(下の写真)が成虫で越冬するので、ヒメアカタテハもそうだろう、と思われていたのかもしれません。



 越冬に関する結論がどうなったか、調査していますが今の所わかりません。
 ヒメアカタテハのもう一つの特徴は、南極を除いた大陸すべてに生息することで、分布においては世界ナンバーワンでは、と言われています。2019年に中央アジアのカザフスタンとキルギスを旅しましたが、行く先々、このチョウがいました。因みにキルギスで撮影したのが下記です。日本産と全く同じです。


 
  
2021/2/22 馬場一秋