ミンミンゼミ そして2018夏の昆虫 


  ミンミンゼミのアップの撮影ができました。ミンミンゼミは他のセミより高い所が好きなようで、アップの撮影はチェンスが少なく、意外にもセミを見下ろす位置から撮れたのはこれが初めてでした。緑色の頭部で、結構貫録があります。名前の通り「ミ−ンミン」と鳴きます。他のセミの鳴き声はジージーとかカナカナですが、ある人が音楽に例えれば他のセミは伴奏やドラムやバックコーラスで、ミンミンゼミの声がリードボーカルという人がいましたが、確かにそんな気もします。

 写真はメスと思われます。
 「セミの生涯は幸いなるかな/彼らは声なき妻を有すればなり」とは作家の北杜夫さんの作品(しかも複数の作品)に、ギリシアの詩人クセナークスの言葉として紹介されている言葉です。この原文であるクセナークスの詩を探したのですが、見つかりません。新聞やテレビで時々引用されるのですが、それを書いた記者もおそらく原文でなく北杜夫さんの作品しか見ていないと思われます(私も2011/8/28の報告で使っています)。

 「クセナークスは、ぎゃーぎゃー騒ぐ妻によほど手を焼いていたのだろう」と氏は解説しています。更にある作品では「我が家のメスゼミは結婚してしばらくは静かにしていたものの、やがて鳴き方を覚えると、夫をなじり、誹謗し、痛めつける言葉をジージー、ギーギー、ミーンミーンと鳴きわめき、それでも足りずにオーシーツクツクとがなり立てるようになった」とお手上げの状態。世の亭主族は「そうか、どの家もそうなのだ、我が家だけではなかった」と賛同されるでしょうけど奥様方はいかがでしょうか。氏は同じ作品の中で、「長年妻の悪口を言い過ぎたタタリが来た」とも書いています。
 
 セミのついでですが、漫画家のやくみつるさんは昆虫マニアで、「やくみつるの昆虫図鑑」という本を出していますが、ツクツクボウシの鳴き声の聞こえ方について書いています。ツクツクボウシの鳴き方は、イントロ、メロディ、エンディングの3楽章の構成になっています(他のセミはミンミンゼミはミーンミン、ヒグラシはカナカナなど1楽章のみ)。
文字にすると、やくさんの聞こえ方では 
   ジワジワジワジワ  →  オーシーツクツク → オミオーツ
とのことです。
 1,2楽章はそれ程個人差は無いのですが、意見が分かれるのが赤で書いた第3楽章の聞こえ方で、インターネットで検索したものだと  ツクイーヨオ というのがありました。 私はやくさんに近く、オシオーシ と聞こえます。皆さんはどう聞こえるでしょうか。
 セミの鳴き声を文字にするのが土台無理だ、と言われそうですが。



 その他、2018年に撮影した昆虫をご紹介します。長年報告をしているので、新顔が少なくなっていますが、下は新顔でコアオハナムグリと思われます。
  
 2匹いて、色が違いますが、緑が濃いものから黄色っぽいのとか、バリエーションがあるようです。うまく両極端が並んでくれました。





  
  次はアカボシゴマダラ。完全に三貫清水の森の夏の顔になってしまいました。行けば必ず出逢います。
  

 

 ただし、ゴマダラチョウもいました。出逢った時はカメラが無く、下の写真は別の場所で撮影したものですが、三貫清水で見た物の方が、翅の損傷が少なく綺麗でした。 まだ完全に駆逐はされていないようです。





  次はルリタテハです。タテハチョウの仲間は翅を半開きしたこのポーズを時々とるのですが、このポーズの時写真のよう前後の翅の縁の水色の線が、「曲線」になって繋がります。アカタテハも同じで、これは赤い曲線ができます。この曲線ができるのは何か意味があるような気がします。標本にすると前後の翅が離れてしまい、「線」でなくなってしまいます。
 




 最後はトラフシジミです。アップの撮影はできなかったのですが、3年ぶりくらいの出逢い、一安心です。
 遠くからで全然わかりませんが、一応写真です。



  
 2018/8/23  馬場一秋