カメの産卵 


  鴨川第一調池そばの土手での撮影ですが、カメがいました。何をしているか、見ると産卵中でした。下の写真ですと左側の土が湿っているように見える部分に産卵しています。
 このカメ、顔の両側が赤いのが確認できますが、ミシシッピーアカミミガメと言う種類です。しかし、ミドリガメと言う名前の方が有名です。すなわち、お祭りの際露天で売られているあのカメなのです。
 子供がほしがるので買ってきたのはよいが、緑色の可愛い時期を過ぎてしまい、寿命は万年とまでは行きませんが平均25年だそうで、せがんだ子供も青年に成長してもう見向きもしない。ついに手に負えなくなって川や池に放り出してしまう人が多く、持ち前の繁殖力でどんどん増えています。





 名前の通りこのカメは外来種です。環境省によると、1950年代後半に米国からの輸入が始まりました。ピーク時の1990年代半ばには年間100万匹が輸入されています。2013年では全国の110万世帯で推計180万匹が飼育されていましたが、前述のように捨てられたり、逃げ出したりして野生で繁殖、日本固有のニホンイシガメの餌やすみかを奪うなど悪影響を及ぼしていると言われています。2013年に自然保護団体が実施した全国調査では、見つかったカメの約6割がこのカメだったそうです。徳島県では特産品のレンコンの新芽が食べられて2011年に1500万円の被害が出るなど、水草や農作物への食害も問題になっているとのことです。


 

 ならば輸入禁止、飼育禁止となるかというとそうでもないようです。

 2014年に環境省はこのカメが国内の生態系を脅かす恐れあるとして2020年までに「特定外来生物」に指定する方針を固めたのですが、反対運動があって、現在ではひとまずペンディングのようです。特定外来生物に指定された場合、今の外来生物法では野生のものだけではなくペットも許可制となるため、飼育中のもが大量に捨てられる可能性がある、という懸念もあったようです。また、このカメの輸入、販売を仕事としている方もいるわけで、いろいろな力関係もあると推測されます。
 日本固有種を本当に駆逐しているかも見解が分かれているようで、大宮氷川神社の神池では、このミシシッピアカミミガメの他、クサガメ、ニホンイシガメ、スッポンの4種が生息していて、共存共栄しているという報告もあります。

 水辺から10m以上離れている所に産卵(下の写真)で、孵化した子亀がちゃんと水の方に行けるのかどうか心配ですが、そこは持ち前の繁殖力、これでも十分育つのでしょうね。





2018/5/12 馬場一秋