ギンイチモンジセセリ と初夏のかおり

 
 
  2017年最初のレポートです。
 ニュースになるような昆虫になかなか出逢わず、またミドリシジミ復活に向けて動いているうち(これは追ってご報告します)6月も終わりになってしまいました。
 写真はギンイチモンジセセリと言います。このHPでは初登場です。撮影は三貫清水の森ではなく、上尾の荒川沿いのサイクリングロードです。




 私が良く受ける質問に「チョウとガは何が違うのでしょうか?」というのがあります。
非常に難しい質問で、「触覚が棒状で先端もしくはその近くがすこしだけ太くなっているものがチョウでそれ以外がガ」というのが我国での分類ですが、例えばイカリモンガというガは私にはチョウとしか思えないのですが、ガに分類されているのがあります。また、英語はバタフライとモスという単語がありますが、フランス語やドイツ語では区別する単語が無いそうです。確かに無理に分ける必要はないですね。

 まあ、胴体が翅に比べて細いのがチョウ、太いのがガ、としておけば大体間違いないのですが、そうすると引っかかるのがセセリチョウ科の仲間。その中でも最も紛らわしいのが、このギンイチモンジセセリです。胴が太いだけでなく、長く、異様なプロポーションです。飛翔も弱弱しくフワフワと飛びます。
埼玉県では準絶滅危惧種で、私も10年以上見ていなかったので、本当に絶滅かと心配していたのですが姿を見せてくれて一安心です。ミドリシジミもこうあってほしい!

 次はミズイロオナガシジミです。これは三貫清水の森で5月に撮影しました。ミドリシジミなど樹上で暮らすシジミチョウは、「ゼフィルス」と呼ばれています。ギリシャ語の「西風」が語源ですが、そよ風の意味があるそうです。関東では西風と言えば空っ風ですがギリシャではそよ風なのですね。所変われば、の典型ですね。
これは昔からゼフィルスの中では数少ない「普通種」でしたが、いまでも健在です。このまま行ってほしいものです。



 最後は「ネジバナ」です。撮影は秋葉の森公園です。らせん状に花をつけるのが特徴です。リポートのため調べたのですが、別名が「モジズリ」と言うのだそうで、私は逆に覚えていました。何故かと言うと、チッチとサリーの恋のお話の「小さな恋の物語」というマンガで(知ってる人は60歳以上?)、チッチが「これはモジズリ。ネジバナともいうのよ」と説明していたからです。作者の方も逆に覚えていたようです。

 百人一首で「みちのくの しのぶもじずり 誰ゆゑに乱れそめにし われならなくに」という歌があります。
私はてっきり
このネジバナを詠んだ歌と思っていたのですが大間違い。この歌は、“信夫の里”で行れていた、模様のある石の上に布を置いて、それに忍草(しのぶぐさ)を摺りこんで緑色に染めた“染め物”を詠んだものだそうです。65歳にして2つの間違いに気づきました。

 


2017/6/30 馬場一秋