ジャコウアゲハのオス 毒蝶だけど何故自分は平気なの?

 

 

ジャコウアゲハのオスを撮影しました。 アゲハやクロアゲハと比べると数は少ないのですが、ラッキーにも昨年9/1のメスに続いて撮影に成功しました。メスが薄茶色なのに比べてオスは黒っぽいのが特徴です。オスメスとも尾錠突起が長いのは同じです。





 昨年のレポートでも書きましたが、このチョウは毒蝶であることで有名です。
 ジャコウアゲハは幼虫時代、ウマノスズクサという草を食べますがこれには毒性のあるアリストロキア酸というものがあり、ジャコウアゲハは幼虫時代にその葉を食べることによって、体内に毒を蓄積します。この毒は成虫になっても体内に残るため、ジャコウアゲハを食べた捕食者は中毒をおこすと考えられています。




 ところで、不思議なのは体に毒があるのに何故自分は大丈夫なのか、ということです。
 電気ウナギがなぜ自分は感電しないのかというと、体内の脂肪が絶縁体の役割を果すため、といわれています。
また、フグが自分の毒で死なないのは、フグの毒は神経細胞や骨格筋細胞の表面にある「ナロリウムイオン・チャネル」というタンパク質と結びついて、細胞と細胞の間の信号のやり取りを妨害するというメカニズムで、人の場合は神経がやられてしびれや麻痺、呼吸困難などを起こし、ついには死に至ります。しかし、フグの「ナトリウムイオン・チャネル」は人間とタイプ・形が違い、毒に対して耐性があってフグは自分の毒では死なないといわれています。
 どちらも完全に証明されたものではないようですが、正しいとすればジャコウアゲハの場合はフグの仕組みに近そうですね。




                                                     
2014/5/19 馬場一秋