幻のチョウ アサギマダラ
  

 
 アサギマダラというチョウを捕獲しました。あさぎ色のまだらチョウなのでアサギマダラとしたようですが、ネットの色見本でみるとあさぎ色とは緑と青の中間のような色で、このチョウの色より濃い感じです。どう見てもこのチョウの色は水色ですよね。命名は誰か知りませんが、昔はこの水色っぽいのをあさぎ色と言ったのでしょうか。ちなみにあさぎは漢字では「浅葱」 と書くそうですが、「葱」が当用漢字でないので、「浅黄色」と書かれることもあって混同されているようです。

 2007/10/27のレポートでこのチョウを見た、と書いていますが、その後見ていませんのでなんと6年ぶりの出会い。そのくらいさいたま市では幻のチョウなのです。

 最近減ってしまったのではなく、昔もさいたま市では滅多にいないチョウでした。次に詳述しますが「旅」をするチョウで、気まぐれでさいたま市まで旅をするのがいて、何年かに一度姿を見ることのできる、昆虫少年憧れのチョウでした。

 私が小学生の頃、東京都下の高尾山がチョウの宝庫と言われていて良く行ったものですが、目標の第一候補がこのアサギマダラでした。但し、一度も捕獲できませんでしたが。そんな訳で元昆虫少年の血が騒ぎ、撮影の前に捕獲してしまいました。






  このチョウの特徴は長距離の移動をすることです。なんと偶然にも本日の読売新聞朝刊に記事が載っていて、大分から北海道まで1200kmの旅をしたのがいたそうです。何故こんなことがわかるのかというと、専門家を中心として「アサギネット」という調査ネットワークを作っているからです。今年4月下旬に、1600匹のアサギマダラを大分で捕獲し、翅に油性ペンで印をつけてから「放蝶」した物の1匹が、北海道で見つかったそうです。

 写真の物は印がないので、調査対象ではないですがデータによると、春から初夏に本州で観察される個体の多くは本土で羽化した個体らしいです。また、上記のように北上するのは珍しいようで、大体は南下するようです。確認された中で長距離移動最高記録は、和歌山県から「放蝶」されたものが、83日後に香港で捕獲されて、なんと約2,500 kmの旅をしたそうです。

 飛びかたはアゲハのようにパタパタ翅を動かすのではなく、グライダーのように翅を広げたまま滑空します。そのため、疲れがなく長い旅行ができるのでしょうか。旅の行先は本人(?)の意思なのか、風に任せて漂っているだけなのか、どうなのでしょうね。

 
アサギネットのURLは下記です。

http://www2h.biglobe.ne.jp/pen/asaginet000.htm



  

2013/6/5 馬場一秋