秋深し それでも元気な チョウチョたち

 

 
  昆虫好きにとっては、対象がいなくなる晩秋から冬は寂しいものです。特に今年のような猛暑で、いいかげんにしてくれと思っていた夏ですら、この時期になると戻ってくれという気持ちになります。
 しかし、この時期元気なチョウもいてくれます。写真左はキタテハ(秋型)です。夏型より色調はシックに、羽のギザギザはシャープな姿になっての登場です。今月半ばまでは夏型も生き残っていて、両方一度に見ることができました(写真中央。同じ日に撮影)。夏型はボロボロです。鳥の襲撃からも逃れて、よくぞここまで頑張ってきたものです。歴戦の勇士、といってよいでしょう。
 気になるのは、キタテハの数が減ってきているような感じがすること。10年前までは、いやになるくらいたくさんいました。正式にカウントしたわけではないのではっきりしている訳ではないのですが、半分くらいになってしまったように感じています。
 鳥では最近スズメが減ってきている、という指摘が上がっています。農作物のスズメによる被害が大幅に減ってきているということが、農水省の調査で明らかになっており、確かに減っているようです。原因としては、(1)建築様式で瓦が消え、スズメが営巣・繁殖する場所が減少、(2)宅地化の影響で餌の確保が困難になったということが上げられています。(1)は関係ないですが、(2)は昆虫にも共通します。キタテハに限りませんが、昆虫達も同じ道を歩むのではないか、と実の所かなり心配している昨今です。
 もう一つ、この時期元気なのが写真右のムラサキシジミです。これは減ってはいません。むしろ増えている感じがします。夏にもいるのですが、秋の方が多くなります。このチョウは成虫のまま越冬し、3月の暖かい日には姿を見せてくれて、春が来たことを知らせてくれる種類の一つです。その名前のとおり、羽を開くと美しい紫色をしています。ネットで検索すると、羽を開いている美しい写真が結構載っているのですが、私はこの10年間狙っていますが、まだ羽を開いたポーズの写真は撮ったことがありません。残り少ない今秋の課題としたいと思います。
















                                                          2010/10/31 馬場一秋