ジャコウアゲハの産卵&ナガサキアゲハ♂の捕獲

 

 

ジャコウアゲハの産卵シーンです(左の写真)。食草の周囲をあちこち飛び回って産卵していましたが、なかなか完全静止はせず、10枚以上撮影した中で唯一ピントが合ったのはこれ。それがまさに産卵中の決定的瞬間だったのは、ラッキーでした。
 ジャコウアゲハの食草はウマノスズクサですがこれには毒があり、幼虫時代に体に蓄積された毒は成虫になっても残るため、このチョウは鳥などに捕食されないといわれています。そのため、クロアゲハなどはこのチョウに擬態したものといわれています。

ジャコウというのは、ジャコウジカから取れる香料のことで、このチョウの雄が同じような匂いを出すためこの名前がつきました。私は本物のジャコウの匂いは知りませんが高級品のようで、漢方薬としても使われているそうです。芥川龍之介の「魔術」の中に、テーブクロスの花模様を摘み上げるという魔術が出てきます。そして、摘み上げた花模様から「ジャコウか何かのような重苦しい匂いがする」という描写がありますので、芥川家ような裕福な家で使われていたものだったようです。

また、先週のメスに続いてナガサキアゲハのオスの捕獲に成功しました(右の写真)。もうナガサキアゲハは普通種と言って良いと思われます。オスはメスに比べて模様は地味ですが、クロアゲハと違って、青みがかった光沢があります。
 この夏に捕獲したチョウは標本にして、「ならせどの里であそぼう会」で「温暖化によって三貫清水の森に生息するようになった種」としてまとめて紹介する予定です。ナガサキアゲハの他には、アカボシゴマダラ、ツマグロヒョウモン、ムラサキツバメ、ウラギンシジミ、ムラサキシジミ、コシアキトンボ・・・。かなり居ますね。


  2009/8/30 馬場一秋