歴戦の勇士 越冬したキタテハ

 

春の陽射しの中で、日向ぼっこするキタテハです。これは昨年秋に発生し、厳しい冬を乗り切った「歴戦の勇士」です。ボロボロの羽がそれを証明しています。

今の時期活動しているチョウは、今春発生したものと昨年秋に発生して成虫で越冬したものが混在しています。越冬組の代表がこのキタテハです。

冬が終わり、先に出てくるのが越冬したチョウたちです。小学生のころ、本格的な春になるのを待つ間、越冬したチョウが出てくるのを指折り待ったものです。1匹出会うと、これで本当に冬が終わり、春になったという気になりました。

キタテハには夏型と秋型があります。これは、2003年8月30日のページで書いていますが、幼虫時代の日照時間できまります。日照時間13時間以上が夏型、13時間以下が秋型になります。夏型、秋型は羽の模様が変わるだけではありません。行動も全く違います。すなわち、夏型は発生後すぐに産卵し、これが育って秋型になります。一方秋型は成虫で越冬、翌年春産卵します。13時間という日照時間によって、別物といってもよい生物になってしまうわけです。自然の仕組みというのは知れば知るほど、底が深くなります。

2007/04/15 馬場一秋