トノサマバッタの「3階建」

 

足元からカエルが飛び跳ねた。最初はそう思った。バッタにしては跳躍の高さと距離が小さい。肥満体のカエルで重くて飛べないのか。よく見ると重いはずで、なんとトノサマバッタの「3階建」。

バッタ3兄弟ならおだやかな話ですが、これはメスをめぐるオスの抗争。1番下の大きいのがメス、中段と上段がオスです。この種の抗争は生物界(勿論「人類」も含む)の常ですが、その結果として、見事な「3階建」の写真を撮ることができました。オンブバッタでカップルの横にもう1匹オスがいるシーンは時々見ました。ふられた場合と虎視眈々乗りかえを狙う場合があると思われますが、「3階建」となっているのは目撃したことはありません。勿論トノサマバッタでもこれまでこんなのは見たことはなく、これは結構珍しい写真なのかもしれません。

それにしても、3匹はこの後どうなったのでしょうか。メスは上の2匹のオスのどちらかと交尾をし、一方は拒否するのか、あるいは不倫して2匹とも相手をするのか。チョウには、一度交尾すると別のオスが求めてきても、メスは交尾拒否の姿勢をとるものが多いのですが、トノサマバッタはどうするのかよく分かりません。

トノサマバッタには下の2匹のような頭や足が緑のものと、上段のような全身茶色のものがあります。茶色は見劣りしますね。上段のは、乗っている順番だけでなく、体格的にも風貌的にも真ん中のよりハンディがあるようです。ハンサムな彼がいる女性に、チビで醜男が猛烈アタックをかけている状況なのかもしれません。そうだとすると、判官贔屓で上段を応援したくなりますね。

 

2005/10/15 馬場一秋