やばいぞ!絶滅の危機 ミノムシ

 

ミノムシです。ミノガの幼虫ですが、ミノガには20種類ほどあって、正式にミノムシとして認定(?)されているのはオオミノガとチャミノガの幼虫です。これはオオミノガのミノムシと思われます。ミノを作るのは主に秋なので、俳句では秋の季語になっています。しかし、私は冬にすっかり葉の落ちた木にミノムシがぶら下がっている姿が、昆虫の底知れない生命力を感じさせてくれるので気に入っています。その光景を題材に一句詠めたら、とずっと思っていますがまだできていません。

子供のころ、ミノムシで時々やった遊びですが、せっかくまとったミノを全部はがして、代わりに千代紙や(まだ売っているかな?)折り紙を細かく切ったものを新しいミノの材料として与えておく。翌日になると、千代紙を使ったカラフルなミノをまとったミノムシが誕生しています。しばしカラフルミノムシを鑑賞した後、それをどう処分したかは忘れてしまいましたが、林に戻したとすると目だってすぐ鳥の餌食になっていたでしょうね。

ミノガのオスは成虫になると羽のはえた普通のガになりますが、メスは成虫になっても羽がはえずミノの中でイモムシ状態のまま一生を終わります。それではどのように卵を産み、幼虫が育っていくのか?オスはミノの中に忍び込んでメスと交尾し、メスはミノの中に卵を産みます。孵化した幼虫は糸をだしてミノからぶら下がり、風に乗って四散していきます。クモ類もそうですが、生物の中には糸と風をうまく使う種類がいるものです。幼虫の食草はバラ科やカキノキ科の果樹の葉なので、害虫です。

これを書くために調べていたら、1990年ころからオオミノガが激減していることがわかりました。原因はオオミノガヤドリバエという寄生虫。寄生率は50%から90%という高率です。このオオミノガヤドリバエは外来種で、九州地方での被害が多いことから、中国から侵入したと考えられています。最新の状況ははっきりわかりませんが、危機的状態となっている地域もあるようです。

数年後、この写真を見て、「昔はここにもミノムシがいたのに」などと話すようなことにならないように祈るばかりです。

 2005/9/11 馬場一秋