狩人蜂の代表 ジガバチ

 

北池の縁でジガバチに出会いました。「狩人蜂」の中で一番よく見かける種類です。狩人蜂の仲間は昆虫やクモをターゲットとしています。捕らえた獲物は自分で食べるのでなく、地面に掘った巣に運び、卵を産みつけて幼虫のエサとします。いろいろな狩人蜂がいますが、種類によって獲物が異なり、昆虫の幼虫を狙うもの、バッタを狙うもの、クモを狙うものとそれぞれ分かれています。最近新聞紙上を騒がせているどこかの業界のように「談合」をして決めたわけではないのでしょうが、自然界というものはうまくできています。このジガバチは、ガの幼虫を獲物にしています。

狩人蜂の幼虫は、親が仕留めた獲物を食べて育っていくのですが、成虫となるのは翌年の春。長い時間がかかります。昆虫記で有名なファーブルは、その間獲物が腐敗しないのは何故か、ということに着目しました。調べた結果は驚くばかり。獲物は死んではいない、生きているのです。ただ中枢神経が麻痺して、植物状態となっているのです。狩人蜂は中枢神経を麻痺させるツボを知っていて、そこに針をつきたて、自分達に備わっている麻酔液を注入して、獲物を麻痺させます。したがって獲物は捕らえられた直後は、糞をするのだそうです。ファーブルは自分でもそのツボを発見、麻痺させることに成功した、と昆虫記には書いてありました。

そんな狩人蜂に人間が刺されるとさぞかし痛いと思われますが、狩人蜂はスズメバチやアシナガバチと違って人間を襲ってくることはありません。スズメバチやアシナガバチは集団生活をするための巣をつくりますが、それが壊されると判断した時に人を襲ってくるのです。昆虫の幼虫やクモを狙うのが商売(?)の狩人蜂は、人は対象ではないため攻撃してくることはありません。

それでも万が一刺されたら?ファーブルは、自ら実験台になって調べた結果、狩人蜂に刺されてもアシナガバチなどと違ってほとんど痛くないことを発見しました。しかし、ファーブルの母国フランスのものとは種類が違うのか、ジガバチにさされると結構痛いと図鑑には書いてあります。どっちが本当なのでしょう?どなたか人体実験をしてみませんか?私はやりませんが(探求心にかけた無責任な発言ですね)。

 2005/8/20 馬場一秋