飛んでいる姿はフワフワの白い糸!クロハネシロヒゲナガガ

 

久しぶりに三貫清水の森を散策していると超不思議な物体(最初は生物とは思えなかった)に遭遇!

かん木の上1p程のところを白い糸のようなものがフワフワ飛んでいる。昆虫の飛び方にはそれぞれ特徴があるのですが、こういう飛び方に出会ったのは初めてでした。ただし、単に漂うような飛び方でなく、正確にかん木から1pほど上の所を飛び、それ以上にもそれ以下にもならない。まるでレーダーを使って地上との距離を測りながら飛ぶ偵察機のよう。一体何だ?ハチの仲間か?それとも白い毛糸が飛んでいるのか?はたまたクモが糸にそって動いているのか?あるいはこれまで発見されなかった新種なのか?確かめようとしたらどこかに消えてしまった。

これがこの昆虫との出会いでした。あれは一体何だったのか。次の休みにまた同じ場所に行きました。2度目の出会いはすぐに来ました。南池付近で同じ物体(この時点でまだ生物という確信はなかった)に遭遇。今度は写真を撮り、その姿をよく調べて昆虫であることは確認しました。しかし、そのときはハチの仲間と判断していました。ところが帰って調べてみると、ハチには該当する種類がない。更に調べると、なんとガの仲間であることが判明。その名は「クロハネシロヒゲナガガ」という長い名前。チョウが中心とはいえ、長年いろいろな昆虫を見てきた私ですが、こんなガがいるとは思いもよりませんでした。造化の神の、とんでもないいたずらです。特徴は体の4倍ほどもある、ヒゲ(生物学的には「触角」といいますが)で、ピカソやダリもこれを見たら脱帽するでしょう。

ところで、キリンの首が長いのは、背の高い樹木の葉を食べるため、というように生物のもって生まれた体は、それなりの理由があると説明されています。その尺度で考えた時、このガの長いヒゲにはどんな意味があるのでしょうか。とにかく飛んでいる時、ヒゲが重そうで生物の基本から外れているように思えます。ただ一つだけ理由を考えると、ヒゲがこれほど長いのはオスだけで、メスのヒゲは体相応。メスの気を引くために長いヒゲを必要としているのかもしれません。

男として、女性にモテるための苦労は人間も昆虫も同じのようですね。世の男性諸氏、昆虫に負けずに頑張りましょう。

2005/5/07 馬場一秋