華麗な舞 ウラギンシジミ

 

秋型のある蝶はだいたい夏型より秋型の方が美しいと私は感じますが、ウラギンシジミはその代表。夏型と秋型の違いは下記の通りです。

夏型:形はやや小さく羽の先端にまるみがある

秋型:夏型より大きく羽の先端が尖っている

この蝶のルーツは熱帯で、徐々に北上してきた種と考えられています。私の持っている40年前の図鑑によると関東では稀、北緯36度線以北の東北北部や北海道にはいないと書いてあります。確かに以前は三貫清水でも姿をほとんど見かけない蝶でした。前に書いたクロシジミと同じような場所を飛んでいるので、いれば気づいた筈ですが見た記憶がありません。ところが今では自宅の庭でも時々姿を見るようになっています。これもおそらく温暖化の影響と思われます。

この蝶はシジミチョウ科に属しますが、ちょっと変わったシジミチョウです。他のシジミチョウが花の蜜を吸うのに対して、動物の糞や水たまり、汚物などに集まってきます。このため研究者によっては独立した「ウラギンシジミ科」として分類する人もいます。

この蝶の最盛期は10月で、夏より秋のほうが多く発生します。名前のように羽の裏は美しい銀色、これが三貫清水の森の木立の間を、木の葉の緑を背景にキラキラと飛び回る姿はまさに絵画の世界。今度三貫清水に来る時は是非上を向いて歩いてみてください。今が盛りのウラギンシジミの華麗な舞を見ることができます。

写真上は三貫清水で9月15日撮影したもの。飛び回っていた一匹が地面に降りてきてくれました。ウラギンシジミは飛ぶのは速いですが、地面に降りて水を飲んだりすることも多いので、採集や撮影のチャンスは結構あります。右は以前採集したもの。いずれも夏型です。

 

2003/10/5 馬場一秋