4月から5月は鳥たちの「渡り」の季節です。冬鳥は北へ帰り、夏鳥が南からやって来ます。

 「ギョギョシ・ケシケシ・ギョギョシ・ケシケシ」。オオヨシキリの鳴き声が聞こえるようになりました。オオヨシキリなど夏鳥が日本に帰って来るのは、ちょうど今ごろからゴールデンウイークのころがピークです。これから次々と姿を現します。

 一方、最後まで残っていた冬鳥のコガモが、群れてさかんに飛び回るようになりました。北へ帰る日が近づいているようです。

 今回は、ここ1、2週間に撮影した花などの写真を掲載します。


ジシバリ
 この季節、野原や道ばたには、いろんな種類の黄色い花がたくさん咲いています。

 これはジシバリです。細長い枝を出して、子株が次々にでき、広がります。地面をおおい尽くすように生える様子(ようす)が、<地面をしばっている>ように見えるということで、この名前がついたそうです。


カタバミ
 おなじみのカタバミです。これも地面をはうように、おおい尽くすように生えます。
 この季節に咲く黄色の花には、花びらが5枚で似たものがたくさんあります。


ケキツネノボタン
 ケキツネノボタンは、湿り気のある道端や田のあぜ道やなどによく見られます。高さは30〜50センチ。4月から7月にかけ、1センチほどの黄色い花を咲かせます。
 キツネの住むような野原に生え、葉の形がボタンの葉に似ているので、「狐(きつね)の牡丹(ぼたん)」の名がついたといいます。
 キツネノボタンの中で、茎や葉に毛がたくさん生えているものを、ケキツネノボタンと呼びます。
 実はコンペイ糖のような形をしていて、人の服などについて運ばれます。


ヘビイチゴ
 ヘビイチゴも黄色い花びらが5枚あります。赤い実が少し顔をのぞかせています。
 こわい名前がついていますが、いかにもヘビが潜(ひそ)んでいそうな場所に生えていることが多いですね。
 赤い実に毒があると思い込んでいる人が多いようですが、そんなことはありません。食べられます。ただし、食べた人の話によると、「まずくてまずくて、もう一度食べようなんて、とても思わない」そうです。こんなものはヘビにでも食わせておけばいい、というのが名前の由来のようです。


クサイチゴ
 こちらは、食べておいしいイチゴです。クサという2字がついていますが、草ではなくて、バラ科の木です。春の野山に白い花を咲かせます。
 白い花は鮮やかで、直径3〜4センチと大きいので、けっこう目立ちます。5月の終わりごろから6月始めに赤く熟す実は、けっこう甘いです。


オランダミミナグサ
 だれかが「雑草」という言葉を使った時、昭和天皇が「どんな草にも名前があります。雑草という名前の草はありません」と言われたという有名な話があります。足もとに生えている草も、図鑑を見ないと名前が分からないものがたくさんありますね。

 オランダミミナグサは春に見られるありふれた草です。白い小さな花は、よーく見ないと目立ちません。
 ヨーロッパ原産の帰化植物で、江戸時代にオランダから来たのでしょう。日本にはもともとミミナグサという在来種がありますが、葉の形がネズミの耳に似ているのでミミナグサ(耳菜草)というそうです。


タチイヌノフグリ
 オオイヌノフグリは地面をはうように生えますが、タチイヌノフグリは地面からまっすぐに立ちます。茎の先に、直径4ミリほどの濃い青紫色の花をつけます。ユーラシア・アフリカ原産の帰化植物です。


ヤエムグラ
 ヤエムグラは道ばたや森林と畑の境目などに多く生えています。
 茎は四角形で、長さ50−90センチ。茎や葉にはトゲがあり、このトゲで他の植物などに引っかかって生い茂ります。葉は長さ1〜3センチの広線形。5〜6月ごろ、直径1〜2ミリの黄緑色の小さな小さな花を付けます。


チガヤ
 この季節、河原や草地で、チガヤの白い花穂が風に揺れています。


ミズキ
 ミズキの白い花が咲き始めました。最近は、ピンクや白の大きな花をつけるハナミズキが、街路樹や庭木として普及していますが、ミズキは直径7〜8ミリほどの小さな花が、直径15〜20センチほどの大きさの房(ふさ)をつくります。


ムラサキケマン
 ムラサキケマンはもう花の時期が終わってしまいました。もう少しで枯れそうなのがまだ咲いていたので、写真を撮りました。本当はもっとあざやかな赤紫色をしています。
 長さ2センチほどの筒(つつ)状の花が、横向きにたくさん付いていて、風が吹くたびに、柔らかい茎が波のように揺れます。


タチツボスミレ
 スミレは種類が多く、花の色や大きさ、葉の形などさまざまです。その中で、人里から山地までもっとも普通によく見られるのがタチツボスミレです。群生していて、遠くからでも花の青紫が見えれば、それは多分、タチツボスミレでしょう。


セイヨウタンポポ
 セイヨウタンポポの白い冠毛がきれいです。


ワレモコウ
 平地から高山まで幅広く生えるバラ科の多年草です。高さは30センチから1メートルになります。夏から秋にかけて、赤紫色をした長さ1〜2センチの楕(だ)円形の花をつけます。


フジ
 見上げると、フジの蔓(つる)が木の枝にからんで高さ20メートル近くまで伸びて花を咲かせています。


ツタ
 ツタの緑がきれいだったので写真を撮りました。