ほたるの一生

 当会会員の赤木勇さんが自宅でホタルの人工飼育を手がけています。ホタルの一生を理解していただく材料として、1年間(2000年秋〜2001年夏)の飼育記録を掲載します。ホタルについての話題も多少入っています。




 ■夏■ ----羽化、交尾、産卵



2001年6月10日
ゲンジボタルの羽化がピークです
 今、赤木さんの家ではゲンジボタルが羽化のピークです。次から次へと成虫が出てきています。雨の降る夜は羽化する数が多いようです。撮影した写真を紹介します。

 まず、ゲンジボタルの成虫が光っている写真を3枚掲載します。


 下の写真は成虫が飛び立とうとしているところです。飛び立つときは光が一段と強くなります。



 オスとメスが交尾しようとしているところです。

 この後、互いに後ろ向きになって、お尻とお尻をくっつけて交尾するのですが、この時は、残念ながらこの写真の状態で10分ほどくっついた後、離れてしまいました。


 下の2枚の写真は、透明ケースの中で成虫が光っているところです。


 オスとメスが葉の上に止まっているところです。

 下の大きいのがメス。上の小さいのがオスです。





 下の2枚の写真は、死んだ成虫を撮影したものです。大きいのがメス、小さいのがオスです。オスの方が大きな発光器(おなかの黄色い部分)を持っています。

2001年7月15日
卵から幼虫が孵化(ふか)しています

 6月に羽化したゲンジボタルの成虫が、たくさん卵を産みましたが、その卵から幼虫が次々と孵化しています。
 孵化したばかりの幼虫は、体長が2ミリほどしかありません。しっかり見ないと、ゴミにしか見えません。
 じーっと見ていて、動き始めたら幼虫、いつまでも動かなかったらゴミ、そんな感じです。見つけた幼虫を一匹一匹スポイトで吸い取って、飼育用の水槽に移します。根気のいる大変な作業です。

 下の写真は孵化したばかりの幼虫です。孵化してまだ1日もたっていません。体長は2〜3ミリです。孵化して間がないので、体が透き通っています。体の真ん中にある緑色のものは内蔵だと思います。
 写真で拡大して撮影すると、きれいな色をしていますが、実物を目で見ると、黒いゴミにしか見えません。



 下の写真は孵化し5日ほどたった幼虫です。体長は4〜5ミリ。気のせいかもしれませんが、体つきが少しがっしりしてきた感じがします。



2001年8月20日
孵化後1カ月のゲンジの幼虫です

 孵化した直後は、体がゼリーのように透き通っていたゲンジボタルの幼虫は、孵化後1カ月たって、だいぶ黒っぽくなってきました。
 それにしても、よく動きます。カメラのレンズを向けると、あっちへスタスタ、こっちへスタスタと歩くので、写真を撮るのに一苦労です。


2001年8月20日
 ヘイケの成虫です

 ゲンジボタルの成虫が発生するのは初夏ですが、ヘイケボタルの発生期間はずっと長く、9月ごろまでみられることもよくあります。赤木さんのところでも、少し前までヘイケボタルの成虫が盛んに光っていました。

 ヘイケボタルの体の大きさは、ゲンジボタルの半分ほどなので、光の大きさも半分。撮影に結構苦労しました。
 ゲンジボタルとヘイケボタルの光の点滅の早さは全然違います。ゲンジが「ピーーカ、ピーーカ」とすると、ヘイケは「ピカピカピカピカ」、そんな感じです。


2001年8月28日
幼虫はこんな大きさです

 幼虫の大きさが分かるように、水槽に物差しを入れて、写真を撮りました。




 ゲンジボタルの孵化(ふか)後2カ月の
幼虫です。体長約4ミリほどでしょうか。


 左の幼虫を拡大した写真です。



 こちらはヘイケボタルの孵化直後の幼
虫です。2匹いるのが分かりますか?

 左の幼虫を拡大した写真です。




 ■秋■ ----孵化(ふか)した幼虫が成長



2000年10月29日
ほたるの幼虫が順調に育っています

 この夏、ほたるの成虫が数多く卵を産みました。卵から孵化(ふか)した幼虫は、エサとなる巻き貝のカワニナやヒメタニシを食べて順調に成長。脱皮を3回ほど繰り返し、現在、ゲンジボタルが体長約2センチ半、ヘイケボタルが約1センチほどの大きさになっています。

 下の写真で、左側の小さい方がヘイケボタルの幼虫、右側の大きい方がゲンジボタルの幼虫です。




2000年11月21日
ほたるは卵から光ります
 知らない人が意外と多いのですが、実は幼虫もちゃんと光ります。もっと正確にいえば、ほたるは卵のときも、幼虫のときも、サナギのときも光る、つまり、ほたるは生まれてから死ぬまでずっと光っているのです。

 一生の間ずっと光っているといっても、寒くなると、幼虫は水の中で冬眠状態になりますので、光らなくなります。今年の場合、赤木さんの家では10月下旬まで光っていました。北風が吹き始めた10月末以降は光らなくなりました。

 前回掲載した写真を撮った日は、まだ光っていました。この時、幼虫が水の中で光っている写真を、何とか撮ろうと頑張ったのですが、水中の写真は難しくて、結局、撮れませんでした。春になって暖かくなったら、また光り始めますので、その時は失敗せずにちゃんと撮って、皆さんにお見せしたいと思います。

 ほたるの寿命は1年です。初夏から盛夏にかけて、成虫は光を放ちながら飛び回ります。オスとメスは互いに光りながら、交尾の相手を見つけるのです。やがて、メスは苔(こけ)などの上に卵を産み付けます。卵から孵化(ふか)した幼虫は、水の中で脱皮を繰り返しながら、来年の春まで成長します。

 最後の脱皮を終えた幼虫は、春の桜が満開になるころ、雨の降る夜に、光りながら水の中から地上に這(は)い上がってきて、土の中にもぐってサナギになります。そして、初夏になると、サナギから成虫が姿を現し、光を放ちながら飛び回って、私たちの目を楽しませてくれます。

 特に、成虫になる直前のサナギはひときわ強い光を放ちます。赤木さんの話によると、「それはもう、まぶしいくらい」だそうです。このサナギが光っている写真も、撮影に成功したら、お見せしたいと思います。
 





 ■冬■ ----幼虫のまま水の中で冬眠状態



2000年12月3日
幼虫が一回り大きくなりました

 きょう(12月3日)また、ほたるの幼虫を撮影しました。右側の大きい方がゲンジボタル、左の小さいのがヘイケボタルです。

 前回の写真(10月29日)と比べると、ゲンジボタルは一回り大きくなったというか、すっかり太って、たくましくなりました。

 また、ヘイケボタルは前回の写真では、本当に小さくてゴミのようで、弱々しい感じでしたが、この1カ月の間に一回りというより二回りも大きくなった感じです。姿形もはっきりして、歩くときの足の動きも良く分かります。

 12月に入って、このところすっかり寒くなってきました。朝に霜も降りるようになりました。もう少し寒くなると、ほたるの幼虫はほとんど動かなくなります。カワニナなど貝殻の中に潜って、ほとんど冬眠状態になりますので、これから先、写真撮影はちょっと難しくなります。でも、撮影チャンスがあれば、その都度、写真を掲載していく予定です。




2000年12月20日
今回は幼虫の餌(えさ)の話です

 12月も下旬に入りました。ほたるの幼虫はもう完全に冬眠状態です。貝殻などの中に入って、動かなくなりました。

 そこで今回は、ほたるの餌の話です。

 ほたるの餌になるのは巻き貝です。代表的なものはカワニナで、ほたるが自然発生している所には、ほぼ確実に生息しています。そのほか、ヒメタニシ、サカマキガイ、モノアラガイなども餌になります。いずれも水田や用水路などに生息しています。

 赤木さんのところではカワニナとヒメタニシを餌として与えています。下がその写真です。右側がカワニナ(長さ約3センチ)、左がヒメタニシです。



 卵から孵化(ふか)したばかりのほたるの幼虫は、体長1〜3ミリしかありません。「そんな小さな体で、堅い貝殻に覆われたカワニナをどうやって食べるんだろう?」と不思議に思うかもしれませんが、そのために、ほたるの幼虫は頭が細くとがった形をしています。巻き貝は蓋(ふた)を持っていて、この蓋を閉じて身を守るのですが、実際には蓋と貝殻の間に少しだけ隙間(すきま)があります。この隙間に、ほたるは小さな頭を突っ込んで、カワニナを食べるのです。

 ほたるの幼虫は食欲旺盛(おうせい)で、成虫になるまでに、ゲンジボタルだと30個近くのカワニナを食べるそうです。



2001年1月21日
寒さには強いけれど、暑さはダメ
  赤木さんの家では、ほたるの水槽は家の外に置いてあります。家の外といっても、屋根も蛍光灯もちゃんと付いていますが、ドアや壁はありません。風が吹き抜けです。

 今年はとても寒い日が続いています。昨日も雪が降りました。おかげで、この冬は水槽に氷が張る日がしばしばあります。けれど、ほたるの幼虫は寒さは平気です。氷の下でちゃんと生きています。

 ところで、寒さに強いのとは反対に、ほたるの幼虫は暑さがとても苦手です。ゲンジボタルの場合、水温が25度を超えると、幼虫は死んでしまいます。ほたるが成虫になるまでは涼しい環境が必要です。自然の環境でいえば、木が生えていて、水辺が適度に木陰になる、そして水が流れている、そんな条件が必要です。

 とはいえ、春でもたまに、夏のように暑くなる日があります。そんな日は要注意。水槽の水温が25度を超えたら大変です。

 赤木さんのところでも、以前、水温の上昇でゲンジボタルの幼虫がほとんど死んでしまったことがあります。でも、ヘイケボタルは大丈夫でした。ヘイケボタルはゲンジボタルより暑さに強いようです。

 話は変わりますが、ほたるの水槽でほかの生き物を一緒に飼うことができます。まず、ほたるの餌になるカワニナ。そして、カワニナの餌にもなる水草・珪藻(けいそう)類。さらに、珪藻類などの繁殖を促すメダカ(写真左上)などです。これらは水槽の中で「小さな生態系」を形成します。

 昔はあんなにたくさんいたメダカも、いつの間にか私たちの身の回りから消えてしまいましたが、ほたるが棲(す)みよい環境は、メダカなどにとっても棲みよい環境なんですね。

 ほたると同じ水槽で飼ってはいけないのは、カニ(写真左中)やザリガニなど。ほたるの幼虫が食べられてしまいます。

 左下の写真はフナムシといって、ヒルの一種です。カワニナやホタルの幼虫を襲います。

2001年2月7日
ほたるはなぜ光るのでしょう?
 ほたるがなぜ光るのか? それは第一に「夜行性」だからです。「ほたるは光るものだ」と、多くの人が思っていますが、ほたるには夜行性のものと、昼行性のものがいて、昼行性のものはほとんど光りません。

 日本全国には40数種類のほたるが生息していて、光るのはそのうちの三分の一ほどだそうです。

 それでは、ほたるは「どんな時」に光るのか? 成虫と幼虫では光る時が異なります。

 まず成虫の場合は、オスとメスが出会って、交尾するために光ります。互いに光りながら、結婚の相手を探すわけです。

 この時、オスとメスは異なるパターンで光ります。多くの場合、オスは空中を飛びながら、「早く」点滅します。一方、メスは草などの上に止まって、「ゆっくり」点滅します。言葉で説明するのは難しいのですが、オスは「ピカ、ピカ、ピカ」、メスは「ピーカ、ピーカ、ピーカ」という感じでしょうか。

 この光り方の違いによって、オスはメスを、メスはオスを見つけます。ゴールインしたカップルは、交尾している間、光らないそうです。
 ところで、ゲンジボタルの場合は、光り方にさらに一つ、大きな特徴があります。それは、群舞しているオスが「同じ周期」で点滅することです。

 ゲンジボタルの自然生息地の中には、何百匹、何千匹が群れ飛ぶ所があります。飛んでいるのは、ほとんどオスです。このオスが「同じ周期」で点滅するのです。

 つまり、飛んでいる何百匹、何千匹のオスが一斉にパッと光り、次の瞬間、一斉に消え、その次の瞬間、また一斉に光ります。一方、メスはそれぞれバラバラに光っています。オスは自分たちと違う光り方をしているほたるを見つけると、「あっ、これはメスだ」というわけで、近付いていきます。

 さて、次は幼虫の場合です。しかし、幼虫がなぜ光るのかは、よく分からないのだそうです。オスとメスが互いを探す必要はないわけですから……。

 一般的に言われているのは、「身の危険を感じた時」に光るということです。敵に襲われた時、光りを出して(警告信号を出して)、相手をおどかすというわけです。

 赤木さんのところでは、去年の10月ごろ、暖かい日の夜は幼虫が盛んに光っていました。水槽の中のあちらこちらで、「ピカッ、ピカッ、ピカッ」と光り、少し休んで、また「ピカッ、ピカッ、ピカッ」と光ります。

 光らなくなった時に、「無理やり光らせる」方法があります。水槽の中に手を入れて、水をガラガラと掻(か)き回すのです。すると、幼虫は何秒か光ります。また掻き回すと、また何秒か光ります。手荒な方法ですので、そう何回もできませんが、これが「敵に襲われた時に光る」パターンかもしれません。

(今回掲載した写真は私が撮影したものではありませ
ん。小学館発行の「日本の昆虫」からコピーしました)

2001年3月4日
ほたるを育てるには
 このホームページを見た方から、「ほたるを育てるには、どうすればいいでしょう?」というメールをよくもらいますので、簡単に説明します。以下は私の聞き書きです。

幼虫を手に入れる
 ほたるの飼育は、幼虫を手に入れることから始まります。幼虫を手に入れるには、ほたるが自然繁殖している所から取ってくるか、飼育している人からもらいます。といっても、自然繁殖地から取ってくるのは感心しませんので、飼育している人と知り合いになることが、最初の一歩になるでしょう。

 もらうタイミングは夏が一番いいと思います。ほたるは初夏に結構たくさんの卵を産みます。卵がうまく孵化(ふか)すると、幼虫がわんさと出てきます。とても全部は育てきれないので、この時期だと「ほたるの幼虫あげます」という人が結構います。インターネットにも「ほたるの幼虫あげます」というお知らせが出ます。

 たとえば、「日本全国ホタル情報リンク集」というホームページの掲示板には、「ほたるの幼虫あげます」という情報が出ています。
   「日本全国ホタル情報リンク集」のアドレスは
    http://www.urban.ne.jp/home/nagashim/hotaru-link.html

用意するもの
 まず、水槽、エアーポンプ、エサ(カワニナやヒメタニシ)などが必要です。水槽は深さが数センチあればOKです。熱帯魚用の水槽でもいいし、台所にある料理用のパッドでも構いません。置く場所は直射日光の当たらない所。冬場、暖かい所に置くと、幼虫は外がまだ寒いうちに成虫になってしまったりします。

 エサを確保するのは結構大変です。幼虫は食欲旺盛(おうせい)ですから、あれよあれよという間にカワニナなどを食べてしまいます。カワニナの捕れる所が近くにない場合は、苦労するかもしれません。子どもが川や用水路などでカワニナを捕るのは危険です。大人が付き添って十分注意してください。

 川や用水路から捕ってきたカワニナには、ヒルが付いていることがあります。ヒルが付いていると、カワニナが一晩で全滅することもあります。カワニナを川や用水路から捕ってきたら、塩水に漬けて、ヒルを退治します。カワニナを専用の水槽で増やす(養殖する)方法もあります。

 水槽の水は結構汚れるので、定期的に取り替えます。

水の中から上陸
 桜の咲くころになると、幼虫は水の中から這(は)い出し、土の中にもぐってサナギになります。この時には、上陸用の装置が必要です。熱帯魚用の水槽を使って作るのが良いと思います。水槽の中に土の斜面を作り、水を浅く張ります。水の中にはもちろんエアーポンプを入れます。土を硬く固めすぎると、幼虫は土の中に潜ることができないので注意します。

 土はあらかじめ熱処理をしたり、庭に何日か広げて太陽の光で殺菌したものを使います。

産卵
 梅雨の季節が来る頃、サナギは羽化して成虫になります。この成虫を産卵用の装置に移します。産卵用の装置として、大きめの虫かごのようなものを用意します。その中に太さ2、3センチの角材2本を平行に置き、その上に台所用のスポンジをセットします。スポンジの下に2、3センチの隙間(すきま)ができるように、スポンジをセットするわけです。スポンジが乾かないよう、一日に何度か霧をかけます。成虫はスポンジの裏側(下側)に産卵します。卵は約1カ月で孵化(ふか)します。

 孵化の時期が近づいてきたら、スポンジを孵化用の装置に移します。孵化用の装置には深さ数センチほど水を張ります。水面から上に2、3センチ離してスポンジをセットします(水の上の空中にスポンジが浮いているような感じです)。スポンジの真下の水中にエアーポンプをセットし、エアーポンプの飛沫(しぶき)が少しだけスポンジにかかるようにします。
 卵から孵化(ふか)した幼虫は、飛沫(しぶき)がスポンジからポタリと落ちるとき、いっしょに水の中に落ちます。

 産卵場所として苔(こけ)を使う方法もありますが、最近はスポンジを使う人が増えているようです。

幼虫を飼育用水槽に
 産卵と、その後の管理がうまくいけば、幼虫が次から次へと誕生します。1日に数百匹、多い日には1000匹を超えるかもしれません。これを毎日せっせと飼育用の水槽に移します。

 孵化したばかりの幼虫は体長が1ミリほどしかありません。よく見ないと、ゴミと間違えてしまいます。しっかり見ながらスポイトで吸い取って、飼育用の水槽に移します。

 飼育用の水槽は台所にある料理用のパッドでも構いません。幼虫は食欲がおうせいですから、エサがたくさん必要です。幼虫が何千匹も誕生したら、まさに、てんてこ舞い状態です。

情報の入手
 以上、簡単に説明しましたが、一年を通じて育てるのは、結構、大変です。家族の協力・理解がないと難しいでしょう。

 図書館に行けば、ほたるの育て方の本が多分あると思いますので、そうした本を読んでください。もちろん、インターネットにも情報がたくさんあります。
 有名なホームページとして、「モカさんのホタルのページ」
   http://www02.so-net.ne.jp/~moka/hotaru/index.html
 などがあります。また、幼虫(サナギ)や飼育装置を販売しているホームページもあります。ただし、ここから買ったことはないので、くわしいことは分かりません。
 「Mushikago」
   http://www1.odn.ne.jp/~cfu85340/



 ■春■ ----水の中から上陸、土の中でナサギに



2001年3月29日
幼虫が光っている写真です
 榎本さんが自宅で育てているホタルの幼虫を見せてもらいました。榎本さんは隣の上尾市に住んでいる大学生です。先月の清掃活動にも参加してくれました。
 榎本さんはホタルの幼虫を家の中で育てています。家の中は暖房が効いているので、幼虫は自然界より早く成長します。今、榎本さんのホタルの幼虫は「上陸」活動の真っ最中です。


 上陸の時期が近づいた幼虫は、水の中で盛んに光ります。暗い水槽の中のあちらで「ピーカ」「ピーカ」、こちらでも「ピーカ」「ピーカ」。見ていて飽きません。

 ← 左の写真は、水槽の中で点滅する幼虫の光です。幼虫は黒いので、幼虫の体は映っていません。

 活発な幼虫は水槽の中を盛んに動き回ります。水槽の壁をよじ登る幼虫もいます。この「水槽の壁をよじ登る」行為は、上陸の時期になったことを示す合図です。


 幼虫のお尻のところに発光器が2つあり、これが光ります。光の大きさは1つ0.5mm程度。成虫と比べると、ずっと小さな光ですが、暗闇の中にクッキリ浮かび上がります。光の色は成虫と同じく薄黄緑です。

 ← 左の写真は、2匹の幼虫が水中で光っているところです。光の点が2個ペアになっているのがよく分かります。



 ← 分かりづらいと思いますが、左の写真は、幼虫が歩きながら光っているところです。幼虫は真っ暗なところでしか光りません。ほんの弱い明かりが差し込んでも、光らなくなります。そこで、幼虫が暗闇で光っている時に、弱い弱い明かりをほんの数秒間だけつけて撮ったのがこの写真です。

 明かりが足りないので、クッキリ映っていませんが、これ以上明るくすると、幼虫が光らなくなってしまいます。撮影はなかなか難しいです。


 ← これは、榎本さんの上陸装置です。熱帯魚用の水槽に浅く水を張り、右側に土の斜面が作ってあります。

 左側の水の部分(白い部分)に幼虫を放すと、幼虫は水の中から出て、土の斜面を登り、土の中に潜ります。そして、口から分泌物を出して「土まゆ」を作り、その中でサナギになります。


 <榎本さんのホームページはこちら> http://www.os.rim.or.jp/~enomoto/

2001年3月30日
幼虫は甘エビがお好き

 榎本さんのホタルの話の続きです。

 ゲンジボタルの幼虫はカワニナしか食べません。これに対し、ヘイケボタルの幼虫は結構いろいろなものを食べるそうです。

 自然界では、カワニナのほかにヒメタニシ、サカマキガイ、モノアラガイなどを食べますが、人工飼育している場合は、イカの切り身やシジミ、さらに塩抜きしたアサリのむき身なども食べるといいます。

 「なかでも大好物は甘エビ」(榎本さん)。左の写真はヘイケボタルの幼虫が甘エビに群(むら)がっているところです。

 すぐ隣(左下)にヒメタニシがいるのに、これには見向きもせず、われ先にと甘エビにかぶりついています。(ちょっと気持ちの悪い写真かもしれませんね。オエー、オエー)

 ところで、ヒメタニシの右に白い円筒形のものがあります。これは酸素玉というもので、水の中に入れておくと、1カ月ほど酸素を出してくれるそうです。エアーポンプの替わりとして使えるこんな便利なものがあるんですね。熱帯魚店などで売っているそうです。

2001年4月21日
白い幼虫と、ホタルの卵です

 またまた、榎本さんのホタルの話の続きです。先日、榎本さんの家でホタルの写真を撮りました。カメラの調子があまり良くなかったので、ボケた写真ばかりでしたが、その中で2枚を紹介します。



 ホタルの幼虫は成虫になるまでに6回ほど脱皮します。幼虫は普段、黒い色をしていますが、脱皮した直後はこんな白い色をしています。ただし、脱皮して数時間から半日もすると黒くなってしまうので、白い色をした幼虫をあまり見ることはできません。

 

 ←これはホタルの卵です。

 榎本さんは部屋の中でホタルを育てているので、ホタルは寒い冬を知りません。このため、早い幼虫は既に成虫になり、産卵しています。

 左の写真は、台所の食器洗い用のピンクのスポンジに産み付けられた卵です。茶色くて丸い卵が20個ほど見えます。




 ところで、赤木さんのホタルの幼虫も上陸の時期になりました。幼虫たちは盛んに光りながら、動き回っています。

 左の写真は、赤木さんの上陸装置です。大きな水槽の上に、上陸装置が乗っかるような構造になっています。

 上陸装置の部分をアップで映したのが下の写真です。


←大きな水槽の中に小さな水槽が入っているのが分かるでしょうか? 赤い石が入っているのがそれです。この中に、上陸期の近づいた幼虫が入っています。

 さらにその上に、緑色の水ゴケと土の入った箱があります。幼虫は下の水槽からここに上陸して、土の中に潜ってサナギになります。


2001年5月24日
ホタルの幼虫の抜け殻です


 赤木さんに珍しいものを見せてもらいましたので、写真を撮りました。ホタルの幼虫が脱皮した際の抜け殻です。赤木さんがホタル研究家の菱沼先生から預かってきたものです。菱沼先生は守る会の活動にこれまで何度か参加されているので、ご存じの方も多いと思います。

 昆虫には、脱皮しながら大きくなるものがたくさんいます。昆虫だけでなく、ヘビなんかもそうですね。ホタルの幼虫も脱皮しながら大きくなります。ホタルの幼虫は普通、約1年で成虫になりますが、中には2年も3年もかかって成虫になるものもいます。

 ゲンジボタルの場合、成虫になるまでに6回ほど脱皮します。脱皮すると、それまでとは一回りも二回りも大きくなります。この写真は終齢幼虫(しゅうれいようちゅう=最後の脱皮を終えた幼虫)の抜け殻です。抜け殻がこんなきれいな形で見られるのは非常に珍しいです。貴重な写真です。

 写真の左上が頭です。頭のすぐ下に足があります。その下はずっと胴体です。写真の右上の側が背中になります。背中の部分が破れているのが分かりますか? ホタルの幼虫は最初に背中の殻を破り、そこから体全体を徐々に抜いていきます。セミやチョウの脱皮と同じですね。