ほたるの一生 |
当会会員の赤木勇さんが自宅でホタルの人工飼育を手がけています。ホタルの一生を理解していただく材料として、1年間(2000年秋〜2001年夏)の飼育記録を掲載します。ホタルについての話題も多少入っています。 |
■夏■ ----羽化、交尾、産卵 |
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2001年7月15日 卵から幼虫が孵化(ふか)しています
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2001年8月20日 孵化後1カ月のゲンジの幼虫です
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2001年8月20日 ヘイケの成虫です
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2001年8月28日 幼虫はこんな大きさです
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■秋■ ----孵化(ふか)した幼虫が成長 |
2000年10月29日 ほたるの幼虫が順調に育っています この夏、ほたるの成虫が数多く卵を産みました。卵から孵化(ふか)した幼虫は、エサとなる巻き貝のカワニナやヒメタニシを食べて順調に成長。脱皮を3回ほど繰り返し、現在、ゲンジボタルが体長約2センチ半、ヘイケボタルが約1センチほどの大きさになっています。 下の写真で、左側の小さい方がヘイケボタルの幼虫、右側の大きい方がゲンジボタルの幼虫です。 |
2000年11月21日 ほたるは卵から光ります 知らない人が意外と多いのですが、実は幼虫もちゃんと光ります。もっと正確にいえば、ほたるは卵のときも、幼虫のときも、サナギのときも光る、つまり、ほたるは生まれてから死ぬまでずっと光っているのです。 一生の間ずっと光っているといっても、寒くなると、幼虫は水の中で冬眠状態になりますので、光らなくなります。今年の場合、赤木さんの家では10月下旬まで光っていました。北風が吹き始めた10月末以降は光らなくなりました。 前回掲載した写真を撮った日は、まだ光っていました。この時、幼虫が水の中で光っている写真を、何とか撮ろうと頑張ったのですが、水中の写真は難しくて、結局、撮れませんでした。春になって暖かくなったら、また光り始めますので、その時は失敗せずにちゃんと撮って、皆さんにお見せしたいと思います。 ほたるの寿命は1年です。初夏から盛夏にかけて、成虫は光を放ちながら飛び回ります。オスとメスは互いに光りながら、交尾の相手を見つけるのです。やがて、メスは苔(こけ)などの上に卵を産み付けます。卵から孵化(ふか)した幼虫は、水の中で脱皮を繰り返しながら、来年の春まで成長します。 最後の脱皮を終えた幼虫は、春の桜が満開になるころ、雨の降る夜に、光りながら水の中から地上に這(は)い上がってきて、土の中にもぐってサナギになります。そして、初夏になると、サナギから成虫が姿を現し、光を放ちながら飛び回って、私たちの目を楽しませてくれます。 特に、成虫になる直前のサナギはひときわ強い光を放ちます。赤木さんの話によると、「それはもう、まぶしいくらい」だそうです。このサナギが光っている写真も、撮影に成功したら、お見せしたいと思います。 |
■冬■ ----幼虫のまま水の中で冬眠状態 |
2000年12月3日 幼虫が一回り大きくなりました きょう(12月3日)また、ほたるの幼虫を撮影しました。右側の大きい方がゲンジボタル、左の小さいのがヘイケボタルです。 前回の写真(10月29日)と比べると、ゲンジボタルは一回り大きくなったというか、すっかり太って、たくましくなりました。 また、ヘイケボタルは前回の写真では、本当に小さくてゴミのようで、弱々しい感じでしたが、この1カ月の間に一回りというより二回りも大きくなった感じです。姿形もはっきりして、歩くときの足の動きも良く分かります。 12月に入って、このところすっかり寒くなってきました。朝に霜も降りるようになりました。もう少し寒くなると、ほたるの幼虫はほとんど動かなくなります。カワニナなど貝殻の中に潜って、ほとんど冬眠状態になりますので、これから先、写真撮影はちょっと難しくなります。でも、撮影チャンスがあれば、その都度、写真を掲載していく予定です。 |
2000年12月20日 今回は幼虫の餌(えさ)の話です 12月も下旬に入りました。ほたるの幼虫はもう完全に冬眠状態です。貝殻などの中に入って、動かなくなりました。 そこで今回は、ほたるの餌の話です。 ほたるの餌になるのは巻き貝です。代表的なものはカワニナで、ほたるが自然発生している所には、ほぼ確実に生息しています。そのほか、ヒメタニシ、サカマキガイ、モノアラガイなども餌になります。いずれも水田や用水路などに生息しています。 赤木さんのところではカワニナとヒメタニシを餌として与えています。下がその写真です。右側がカワニナ(長さ約3センチ)、左がヒメタニシです。 卵から孵化(ふか)したばかりのほたるの幼虫は、体長1〜3ミリしかありません。「そんな小さな体で、堅い貝殻に覆われたカワニナをどうやって食べるんだろう?」と不思議に思うかもしれませんが、そのために、ほたるの幼虫は頭が細くとがった形をしています。巻き貝は蓋(ふた)を持っていて、この蓋を閉じて身を守るのですが、実際には蓋と貝殻の間に少しだけ隙間(すきま)があります。この隙間に、ほたるは小さな頭を突っ込んで、カワニナを食べるのです。 ほたるの幼虫は食欲旺盛(おうせい)で、成虫になるまでに、ゲンジボタルだと30個近くのカワニナを食べるそうです。 |
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2001年3月4日 ほたるを育てるには このホームページを見た方から、「ほたるを育てるには、どうすればいいでしょう?」というメールをよくもらいますので、簡単に説明します。以下は私の聞き書きです。
もらうタイミングは夏が一番いいと思います。ほたるは初夏に結構たくさんの卵を産みます。卵がうまく孵化(ふか)すると、幼虫がわんさと出てきます。とても全部は育てきれないので、この時期だと「ほたるの幼虫あげます」という人が結構います。インターネットにも「ほたるの幼虫あげます」というお知らせが出ます。 たとえば、「日本全国ホタル情報リンク集」というホームページの掲示板には、「ほたるの幼虫あげます」という情報が出ています。 「日本全国ホタル情報リンク集」のアドレスは http://www.urban.ne.jp/home/nagashim/hotaru-link.html
エサを確保するのは結構大変です。幼虫は食欲旺盛(おうせい)ですから、あれよあれよという間にカワニナなどを食べてしまいます。カワニナの捕れる所が近くにない場合は、苦労するかもしれません。子どもが川や用水路などでカワニナを捕るのは危険です。大人が付き添って十分注意してください。 川や用水路から捕ってきたカワニナには、ヒルが付いていることがあります。ヒルが付いていると、カワニナが一晩で全滅することもあります。カワニナを川や用水路から捕ってきたら、塩水に漬けて、ヒルを退治します。カワニナを専用の水槽で増やす(養殖する)方法もあります。 水槽の水は結構汚れるので、定期的に取り替えます。
土はあらかじめ熱処理をしたり、庭に何日か広げて太陽の光で殺菌したものを使います。
孵化の時期が近づいてきたら、スポンジを孵化用の装置に移します。孵化用の装置には深さ数センチほど水を張ります。水面から上に2、3センチ離してスポンジをセットします(水の上の空中にスポンジが浮いているような感じです)。スポンジの真下の水中にエアーポンプをセットし、エアーポンプの飛沫(しぶき)が少しだけスポンジにかかるようにします。 卵から孵化(ふか)した幼虫は、飛沫(しぶき)がスポンジからポタリと落ちるとき、いっしょに水の中に落ちます。 産卵場所として苔(こけ)を使う方法もありますが、最近はスポンジを使う人が増えているようです。
孵化したばかりの幼虫は体長が1ミリほどしかありません。よく見ないと、ゴミと間違えてしまいます。しっかり見ながらスポイトで吸い取って、飼育用の水槽に移します。 飼育用の水槽は台所にある料理用のパッドでも構いません。幼虫は食欲がおうせいですから、エサがたくさん必要です。幼虫が何千匹も誕生したら、まさに、てんてこ舞い状態です。
図書館に行けば、ほたるの育て方の本が多分あると思いますので、そうした本を読んでください。もちろん、インターネットにも情報がたくさんあります。 有名なホームページとして、「モカさんのホタルのページ」 http://www02.so-net.ne.jp/~moka/hotaru/index.html などがあります。また、幼虫(サナギ)や飼育装置を販売しているホームページもあります。ただし、ここから買ったことはないので、くわしいことは分かりません。 「Mushikago」 http://www1.odn.ne.jp/~cfu85340/ |
■春■ ----水の中から上陸、土の中でナサギに |
<榎本さんのホームページはこちら> http://www.os.rim.or.jp/~enomoto/ |
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2001年5月24日 ホタルの幼虫の抜け殻です 赤木さんに珍しいものを見せてもらいましたので、写真を撮りました。ホタルの幼虫が脱皮した際の抜け殻です。赤木さんがホタル研究家の菱沼先生から預かってきたものです。菱沼先生は守る会の活動にこれまで何度か参加されているので、ご存じの方も多いと思います。 昆虫には、脱皮しながら大きくなるものがたくさんいます。昆虫だけでなく、ヘビなんかもそうですね。ホタルの幼虫も脱皮しながら大きくなります。ホタルの幼虫は普通、約1年で成虫になりますが、中には2年も3年もかかって成虫になるものもいます。 ゲンジボタルの場合、成虫になるまでに6回ほど脱皮します。脱皮すると、それまでとは一回りも二回りも大きくなります。この写真は終齢幼虫(しゅうれいようちゅう=最後の脱皮を終えた幼虫)の抜け殻です。抜け殻がこんなきれいな形で見られるのは非常に珍しいです。貴重な写真です。 写真の左上が頭です。頭のすぐ下に足があります。その下はずっと胴体です。写真の右上の側が背中になります。背中の部分が破れているのが分かりますか? ホタルの幼虫は最初に背中の殻を破り、そこから体全体を徐々に抜いていきます。セミやチョウの脱皮と同じですね。 |